【L-モード使ってる!?】SJ開発者が教える!SuperJetライディングスクール

2023年10月28日(土)に、マリンショップアルファ西浦シーサイド店にて、ヤマハ発動機が主催する『SuperJetライディングスクール』が開催されました。

参加したのは、SJ歴2回から1年ほどの初心者6名。講師を務めたのは、ヤマハ発動機のSJ開発者である鈴木 勝さん。SJの生みの親から直接、乗り方を教えてもらえるまたとない機会となりました。

陸上編

まずは陸上で、水中からの乗り込みから立ち上がるまでの動きや、直線の走り方、旋回時の体の動かし方など、SJライディングの基本を解説していきます。

How to SuperJet Riding
水中からの乗り込み~立ち上がるまで①
水中から乗り込む際は、まずライディングトレイ後端に両手をついて、体を持ちあげます。おへその下(左写真の右手位置ぐらい)がライディングトレイの角に乗るようにします。※事前に、ランヤードを腕に装着しておきましょう
How to SuperJet Riding
水中からの乗り込み~立ち上がるまで②
次に下半身をライディングトレイに乗せますが、この時にハンドルを握ってしまうと体を前方向にしか引っ張れないので、下半身を引きあげにくくなってしまいます。ガンネルを両手で握り、上半身を斜め上方向に持ちあげるようにすると、両ヒザを乗せやすくなります。
How to SuperJet Riding
水中からの乗り込み~立ち上がるまで③
立ち上がりやすいように両足のつま先を立てた状態でライディングトレイに両ヒザをつき、ランヤードを差し込みます。このときは、できるだけ前にヒザをついた方が安定します。エンジンを始動したら、少しずつスロットルレバーを握り、加速していきます。両ヒジが伸びきらず軽く曲がる程度の位置まで、座ったまま後方に移動します。
How to SuperJet Riding
水中からの乗り込み~立ち上がるまで④
スピードに乗って船体が安定したら、ゆっくりと立ち上がります。前過ぎず後ろ過ぎず、ハンドルを操作しやすい場所に立ちます。スタンスはレギュラー(左足前)でもグーフィー(右足前)でも、乗りやすい方で大丈夫です。軽く両ヒザを曲げ、背中を少し丸めて猫背気味に。ステアリングパッドの真上に頭がくるようなイメージです。
ハンドルの持ち方は、手首をまっすぐにして手の甲を前に向け、小指と薬指でグリップを下から支えるイメージです。

水上編

基本がひととおり理解できたら、いよいよ水上へ。エンジンの最大出力を約80%に制限するL-モードで、8の字コースを周回してもらいます。

まずは講師の鈴木さんが見本走行。続いて参加者が走り、戻ってくると1人ひとりに鈴木さんからアドバイスが送られます。

How to SuperJet Riding
旋回時の基本姿勢

参加者の乗り方を見た講師の鈴木さんが「皆さんに共通していた」と語るのが、旋回をはじめるときの重心位置が高い・後ろすぎるということでした。

今回のスクールでは事前に、旋回をはじめるときはハンドルポールがエンジンフードに付くまで下げ、重心位置を低くという説明がありました。それでも実際に走ってみると皆さん、まだまだ重心位置が高いまま。走り終えた方に話を聞くと「重心を下げることを意識していた」との答えでしたが、鈴木さんは「自分が思っているほど、低くなってないことが多い」と言います。

その理由は、ヒザを曲げずに腰を折って、上半身と腕だけでハンドルポールを下げているからだそう。

正しくは、ヒザを曲げて体全体を低くして重心を下げなければなりません。ただし、普通に両ヒザを曲げると、腰の高さは低くなりますが、位置が後ろにズレていきます。これが、重心位置が後ろになり過ぎる原因です。そうではなく、前足のヒザを前に送りながら両ヒザを曲げれば、重心の前後位置を変えずに低くできます。これが、安定した旋回ができる姿勢です。

緑の丸が、前足のヒザ位置です。前足のヒザ位置を変えずにヒザを曲げて腰を落とすと、赤矢印の動きになります。前足のヒザを前に送ってヒザを曲げると黄色矢印の動きになり、重心の前後位置を変えずに低くできます。

SJライディング初心者の方は、ぜひこの点を意識してみてください。

How to SuperJet Riding
初心者も上級者も、L-モードを活用する
L-モード作動方法(エンジン停止中のみ)
①エンジン始動スイッチを短押しして、電源を入れる
②エンジン停止/L-モードスイッチを3回押す
③L-MODE表示灯が点灯して作動
※L-モード中に同じ操作をすると解除
 

初心者の方がSJライディングに慣れていくために有効なのが、エンジンの最大出力を約80%に設定できるL-モードの活用です。今回のスクールでも、最初はL-モードで8の字周回を重ねました。

参加者の方に話を聞くと、L-モードを使ったことがないという声もありました。そこでL-モードで乗った感想を聞いてみると「通常モードだと操作するのに精一杯ですけど、L-モードだと少し余裕ができて、自分の体の動きに意識を向けられるようになりました」との感想が。ただし「通常モードなら倒れそうになってもスロットルを開けて立て直すことができましたけど、L-モードではそれができないから、難しいと感じる面もありました」

エンジンパワーが抑えられる分、ゴマカシが効かなくなるのもL-モードです。その分、しっかりとした乗り方を身につけられるモードであるともいえます。

参加者の皆さんからは、もっと上手くなりたい!という意欲が感じられました。ハンドルポールの長さで何が変わるのかを体験する機会もありました。

「L-モードで自分の乗り方とスピード感覚を身につければ、通常モードでよりラクに乗れるようになりますし、その方が後々のスキルの伸びもいいと思います」とは鈴木さん。そして、L-モードは初心者だけのものではないとも言います。

「SJに乗るときは僕も毎回、L-モードからはじめます。そこで自分のフォームを確認して、ちゃんと乗れているかを見直すことができるんです」

L-モードが初心者だけでなく、上級者にも有意義であるというのは、意外な発見でした。初心者の方も上級者の方も、もっとL-モードを使ってみましょう!

After School

夏目洋子さん
SJ歴4か月
「今まで自己流で乗っていて、乗り方を教えてもらうのは、はじめての経験でした。自分の乗り方が間違っていたことがわかったんですけど、教えてもらったことをやろうとすると難しくて、体力不足を痛感しました(笑)」
門間一之さん
SJ歴1年
「これまで機会がなく、誰からも基本を教わっていなかったので、アドバイスを聞いてナルホド!と思うことが多くて。曲がるときには重心を下げることが大事なんだと理解できました。今後の練習に活かしていきます」
西尾 誠さん
SJ歴2回
「過去2回は、スタンスも立ち上がり方も何もわからないまま乗っていて、恐怖心がありました。今日、いろいろと教えてもらって恐怖心はなくなり、それなりには乗れるようになったかな。あとは自分の努力のみ(笑)」
西尾 峻さん
SJ歴2か月
「もっと旋回が上手くなりたいと思い、参加しました。SJはハンドルポールの長さを変更できますけど、長短で何が違うのかも教えていただき、コーナーでのスロットルの開け方が一番勉強になりました」
中川淳博さん
SJ歴1か月
「まだ乗りはじめたばかりで、変な我流が入る前にこうして教えてもらえて本当に良かった。スタンスの位置や体重のかけ方、ハンドル操作など、すべて参考になることばかりでした。来年はSJでS-1に出場したい」
藤原銀二郎さん(マリンショップアルファ)
SJ歴1年
「SJを販売する側として、お客さんに乗り方を教える、という面で勉強になりました。ウォーミングアップや基礎をしっかりと身につけるためにL-モードを活用することを学べたのが、一番の収穫です」
講師:鈴木 勝さん(ヤマハ発動機)
「僕自身もユーザーさんに教えるのははじめての経験で、皆さんのスキルもバラツキがあるということで、どうやって教えるか最初は不安もありました。ですが皆さん、SJが好きで上手くなりたいと真剣に取り組んでいただき、伝えたことを忠実にトライしてくれたので、段階を踏みながら上達していくのが目に見えて、とても良かったと思います。機会があれば、またこのようなスクールをぜひやってみたいですね」

ヤマハ発動機
https://www.yamaha-motor.co.jp/

マリンショップアルファ
http://www.marinejet.co.jp/

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