マリンジェットの父が秘蔵コレクションを公開|ニール小林のトイボックス【vol.1】

ニール小林 Neil Kobayashi
ヤマハ発動機に在籍中はマリンジェットやボートのデザインを担当し、現在も日本および海外で活躍するボートデザイナー。携わったノリモノは世界145か国以上の水上で使用され、取得した特許は約170件にのぼる。1947年7月生まれ。東京都出身。


ヤマハ在籍中にマリンジェットやボートのデザイナーとして活躍し、「ウェーブランナー(マリンジェット)の父」と呼ばれるニール小林氏。

そんな氏がアメリカ在住時からコレクションしてきた、アメリカならではの「水上バイクのおもちゃ」の数々を紹介してもらいます!

 

はじめに

1986年を皮切りにウェーブランナー(マリンジェット)が世界約150か国で爆発的に販売されるようになり、私自身もアメリカやヨーロッパ、そしてアジアの水辺の状況を見て回るようになりました。

当初は水辺の観光地でウェーブランナーの絵ハガキやネックレスなどを時折見かけましたが、「こうした物も売られているのか」と思う程度でそのときは気にも留めませんでした。

ウェーブランナーが描かれた当時の絵はがきです。

1995年からは家族ともどもカリフォルニアに住むようになり、小中学生レベルの絵本にウェーブランナーが載っていたり、水辺のレトランで子どもが水上バイクのようなプラモデルを持ってきて「乗ったことある?」と尋ねられるなど、アメリカにおける幼児期からのマリン意識の浸透には感心させられました。

そしてレストランで子どもが手にしていたように、アメリカでは当時から水上バイクのプラモデルがあたりまえに流通していました。

実際の商品の性能や信頼性とは関係なく、自由な発想で形や色彩が作られるプラモデルは、手に取ったひとに制限のない夢を与えるものであり、ボートデザイナーとしては羨ましい限りでした。

そうしたこともあり、実際の商品には結び付かないものの、プラモデル自身が持つ潜在的な魅力や影響力を感じ取りたい思いと、「自分が開発したものがプラモデルの題材になっている」という気持ちもあり、いつしか集めるようになったのがここで紹介するコレクションの数々です。

ちなみに1996年の“たまごっちフィーバー”の時はロサンゼルスでも入手が困難で、子どもに急かされてひと晩で4~5か所のトイザラスを回りましたが、私はそのついでに水上バイクのプラモデルを探し回ったものです。

トレーラーとセットでリアリティを演出

水上バイクとトレーラーを組み合わせたプラモデルは、実際の使用実態を現しているためアメリカでは比較的多く販売されています。

思い返せばウェーブランナー(マリンジェット)の商品化にたどり着く前の最初の試作では、トレーラーを使わないカートップ(クルマの屋根に積む方法)で考案していました。

しかし小型軽量ではあるものの、ダイナミックな運動性に欠けるノリモノだったため、多くの方々には受け入れられませんでした。

その結果、トレーラーを運搬具として使う現在のカタチに。

そうした経緯もあり、水上バイクとトレーラーがセットになったプラモデルを最初に紹介することにしました。

NYLINT CORPORATION
SEA-DOO HAULER

価格:40ドル前後|全長:約480mm

1997 年ごろにカリフォルニアのターゲット(大手スーパーマーケット)で購入した、フォード社のEXPLORERとBRP社のSEA-DOOを組み合わせたプラモデルです。

各社からライセンスを供与され、実物に近い臨場感あふれるデザインに。水上バイクは座席の下に電池を入れると、実際に水上を走らせることができます。

NYLINT CORPORATION
YAHOO ENGINES

価格:15ドル前後|全長:約350mm

2000年ごろに購入したもので、濃いブルーのカラーとサイドに「YAHOOENGINES」のロゴを使い、牽引車と水上バイクのデザインに一体感があります。実物にも比較的近い形状です。

NYLINT CORPORATION
Water Sports #1

価格:15ドル前後|全長:約350mm

2001年ごろに購入したもので、淡いブルーのカラーとサイドに「Water sports#1」のロゴを使い、牽引車と水上バイクの一体感が良く出ています。形状と寸法はYAHOO ENGINESのプラモデルと同一です。

※購入時期、購入場所、購入価格は筆者の記憶を元に記載しています

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