【インタビュー】目指せ3世代でレース出場!|PWC×FAMILY|陣川道子・萌子

親子で同じ趣味を持つことに、憧れを抱くひとは少なくありません。

コミュニケーションのきっかけになったり、子どもが大きくなっても一緒の時間を過ごせたり、趣味が潤滑油となって関係が上手くいくこともあるでしょう。

近年は水上バイクでも、子どもが免許を取得して親と一緒に楽しむケースが増えています。

ここでは水上バイクが繋ぐ様々な親子の物語を、少しだけ紐解いていきましょう。


ヴィンテージ水上バイクが繋ぐ親子の絆

インタビューに応えてくれた陣川道子さん・萌子さん親子と、萌子さんのお子さんの幸叶くん(左)とつばさちゃん(右)

HWSM 道子さんはいつから水上バイクに乗っていますか?

道子(母) 一番最初に乗ったのは高校生のときでしたね。

HWSM どのようなきっかけで?

道子(母) ずっとテニスをやっていたんですけど、そのときのコーチがJSP鎌倉(神奈川県鎌倉市の水上バイクショップ)で水上バイクをはじめて、「よかったら遊びにおいで」って誘ってもらったのがきっかけです。

HWSM それからすぐにご自身でも乗りはじめたのですか?

道子(母) いえ、しばらくは誘われたら遊びに行くぐらいでした。自分で乗るようになったのはもう少し先ですね。

HWSM ご自身で乗るようになったのはいつごろですか?

道子(母) 主人の双子の兄がJSP鎌倉で働いていた縁もあり主人と出会って、結婚して、そのあとぐらいからですかね。ちゃんと乗るようになったのは。

HWSM 全日本選手権のレースにも出場されていましたね。

道子(母) 最初にレースに出ようと思ったタイミングで妊娠したので、そこはいったん先送りにして。息子を出産して落ち着いてからレースに出て、それから3年だけJJSBAのレースに出ていました。

HWSM レースに出ていたのは3年だけだったんですね。

道子(母) 私はオークスっていう主人がいた会社が起ち上げたチームで走っていたんですけど、バブルがはじけて会社がマリン部門から撤退することになったので、私もそのままやめることになりました。レースのシーズン中はどうしても子どもを連れ回さなきゃいけない3年間だったので、子ども中心の生活にしようと思ったのも理由のひとつでした。

HWSM それから最近まで水上バイクには乗られていなかったのですか?

道子(母) 30年ぐらいお休みしてました。

HWSM お子さんと一緒に乗ることもなかったのですね。

道子(母) 海外に行ったときに乗せたりはしていましたけど、それぐらいでしたね。

HWSM その当時は、いつかお子さんと一緒に乗りたいと思っていましたか?

道子(母) 自分がまだレースに出ていたときは、ジェフ・ジェイコブスやクリスティ・カールソンがチャンピオンだったときで(ともに1990年代に活躍したレジェンドライダー)、ジェフはお母さんがレースに出ていたんですよね。たぶんジェフが18歳で、お母さんが30歳とかだったと思うんですけど、ああいう親子になれたらいいなっていう憧れはありました。

HWSM 萌子さんは小さいころ、お母さんが水上バイクに乗っていたことはご存じでしたか?

萌子(子) 家にトロフィーが置いてあったので、知ってはいました。乗ってるのを見たことはなかったですけど(笑)。

HWSM お母さんが水上バイクに乗っていたことを知って、自分も乗ってみたいと思いましたか?

萌子(子) それは……、あんまり無かったですね(笑)。

道子(母) うちの子たちは自分から水上バイクに乗りたいとは言いませんでしたね(笑)。

萌子(子) フィギュアスケートをやっていたので、当時はそっちに一生懸命でした。

HWSM 萌子さんが水上バイクに乗るようになったきっかけを教えてください。

萌子(子) 母がまた乗るようになって、それに付いてきているうちに、ですかね。うちは兄も乗ってるんですけど、一緒に免許を取りに行って、私は夏の暑い時期だけ乗ってました。本格的に乗るようになったのはつい最近ですね。

HWSM 息子さん(陣川雄大さん)はレースにも出られていましたね。

道子(母) 息子は元々クルマのレースをやっていたんですけど、やめてから落ち込んでいたんですよ。それで昔の仲間がジェットフィールド(湘南)で乗ってるのを聞いていたので、息子も連れて見に行って、「乗ってみたら?」って勧めました。だから私よりも息子の方が先に乗りはじめた感じですね。それでランナバウトのレースにも出ていました。

HWSM その後、道子さんも復帰したわけですね。

道子(母) 昔の仲間と一緒に乗っていた豪ちゃん(加藤豪さん:水上バイクショップ55 HEAVEN店長)が「安い中古の550(ヴィンテージ水上バイク)あるけど、買う?」って勧めてくれて。最初は断っていたんですけど、みんなが乗ってるのを見てたらほしくなっちゃって(笑)。

HWSM 今では季節を問わず、毎週乗られているとか。

道子(母) 仕事がない日は、毎週日曜日にかならず乗っています。仕事がある日でも夕方ギリギリにきて、30分だけ乗って帰るみたいな感じです。

HWSM 乗るときはおふたり一緒ですか?

萌子(子) 一緒に乗るようになったのは、ホントに最近で(笑)。

道子(母) OUT A TIME SPORTSのあとからです(ヴィンテージ水上バイクのタイムアタックレース/2023年11月開催)。それまでは寒がりだから夏しか乗らなかったですし、ブイも回らないでランナバウトに子どもたちを乗せたり、お友だちを誘ってレジャーで楽しんでいましたね。

萌子(子) OUT A TIMEでやっと(シングルの水上バイクが)楽しくなってきて(笑)。乗りたいって思うようになりました。あとは子どもたちが大きくなってきたので、少し手が掛からなくなってきたのもありますね。

道子(母) 前は目を離すとどこかへ行ってしまったので(笑)。冬場も一緒に来てはいたんですけど、乗らずに子どもたちを見ていましたね。

OUT A TIME SPORTS #6では550 Bクラスで3位入賞した萌子さん

HWSM 道子さんが憧れていた親子でのレース出場が叶ったわけですが、復帰のきっかけとなった仲間のみなさんには感謝ですね。

道子(母) みんなが楽しそうに乗ってるのを見て私も乗りたくなりましたし、娘もみんなといるのが楽しいから毎週ここに来ています。良い仲間に恵まれました。

HWSM ちなみに今一緒に乗られているみなさんは年齢層が幅広いですよね。

道子(母) そうですね。みんな年齢とか関係ない感じでワイワイ楽しんでます。

萌子(子) みんな中身が若くて、少年みたいなオジさんたちがたくさんいます(笑)。

HWSM そして道子さんは2023年のJJSA全日本選手権シリーズでクローズドレースにも復帰され、総合2位の好成績でした。

道子(母) とりあえず1戦走ってみたいなと思って、村尾さん(村尾高明さん:ヴィンテージ水上バイクの火付け役)にマシンをレース仕様に作り替えてもらって、無事に走りきることができて。次はどうしようか迷っていたら主人が「せっかくマシンを作ったんだから全戦出たら」と言ってくれたので、全戦出られることになって。「どうせ出るなら表彰台に乗りたいよね」って言ってたら2戦目で2位になれて。「じゃあ次は孫を連れて表彰台に」と思ったらそれも叶って。最終的には年間ランキングでも表彰台にあがれて、目標がすべて叶った年になりました。

HWSM レースに復帰してよかったですね。

道子(母) そうですね、とても楽しい1年でした。

HWSM 次の目標は?

道子(母) 表彰台のテッペンに乗りたいかな(笑)。今までもテッペンだけは乗ったことがないので。

2024年のシリーズ戦が4月に開幕し、道子さんは惜しくも表彰台を逃して4位に。次戦以降に期待です

HWSM ヴィンテージ水上バイクのレースはどこが楽しいですか?

道子(母) マシンの差よりも技術の差で勝負できるところですね。乗りこなすのはムズカシイですけど、それがまた楽しいです。

HWSM 現行の水上バイクより金銭的な負担も少なそうですね。

道子(母) それは間違いなくあると思います。お金が掛かるなら私もレースには復帰できなかったですし、当時走っていたころよりも負担は少ないですね。Aクラスとかになってくるとマシンが壊れるリスクもありますけど、今はホントに壊れないので。

HWSM 萌子さんはヴィンテージ水上バイクのどこに魅力を感じますか?

萌子(子) 私はちょっと怖がりなので、550ぐらいのスピードがちょうど良かったりします(笑)。最初に乗ったときもそこそこバランスも取れて、あまり転ぶことなく乗れて楽しかったので、私には新しいマシンよりもこっちの方が合ってるのかもしれないです。

HWSM 以前は転ぶことをかなりイヤがっていたそうですね。

萌子(子) 転びたくないのでほとんど倒さずに曲がっていたんですけど、誕生日にドライスーツを買ってもらって、やっと転ぶ決心がつきました(笑)。それから頑張って練習するようになって、前よりもっと楽しくなってきましたね。

道子(母) 前まではさっきも言ったように一緒に来ても乗らなかったけど、最近は本気になって練習しているのでメキメキ上達していますね。乗り終わって家に帰ると「早く乗りに行きたい」って言うようになりました。

「転ぶのがイヤだった」ころの萌子さん

HWSM 道子さんから萌子さんに乗り方のアドバイスをすることはありますか?

道子(母) 言葉で説明するのが難しくて……(笑)。頭よりも感覚で乗るタイプなので、なかなか上手く教えられないんです。

萌子(子) 私も頭であまり考えられなくて……(笑)。

道子(母) こう乗った方がいい、とか細かくアドバイスしないで、自由に楽しく乗ってくれたらいいなと思って見守ってます。

萌子(子) あとは一緒に乗ってるみんなが教えてくれたりするので、それを参考にさせてもらってます。

道子(母) 私から教わるより、周りに上手なひとがたくさんいますからね(笑)。

親子のホンネトーク

ここからは親子別々にインタビュー!

直接言いづらいことや親子ならでは悩みなどをホンネで語ってもらい、お互いへのメッセージをボードに書いてもらいました。


母から子へ

HWSM 一緒に水上バイクに乗るようになって、ふたりの関係に変化はありましたか?

道子(母) 元からずっと仲が良くてどこに行くのも一緒だったので、ぜんぜん変わらないですね。

HWSM 後輩ライダーとして何かアドバイスはありますか?

道子(母) 体育会系みたいには乗ってないので、レースで勝つために、みたいなことはないですけど、とにかく楽しく長く乗ってほしいですね。勝ちにこだわり過ぎちゃうと体も気持ちも大変だと思うので、レジャーの延長で気楽に乗ってほしいなと。

HWSM 親子一緒にずっと楽しめるといいですね。

道子(母) 次の大きな目標は、孫が免許を取れるようになったら3世代でレースに出たいなって思ってます。今4歳と5歳なので、あと12年ぐらいは頑張ります(笑)。

HWSM 親子3世代で表彰台にあがれるといいですね。

道子(母) そうですね、頑張ります。

子から母へ

HWSM 水上バイクに乗るお母さんはどのように見えますか?

萌子(子) やっぱりカッコいいですよね。スポーツをやってるのっていいなって。あとは楽しそうに乗ってるので、それもいいですよね。

HWSM もっとこうしてほしいという要望はありますか?

萌子(子) やっぱり表彰台のテッペンに乗ってほしいです。

HWSM いつまでも親子で一緒に水上バイクを楽しみたいですか?

萌子(子) そうですね、息子と娘が大きくなったら3世代で乗れたらいいなとは思っています。

HWSM あと10年ぐらい道子さんには頑張ってもらいましょう。

萌子(子) 母はまだまだいけそうなので、きっと大丈夫だと思います(笑)。

後日談

インタビュー後に萌子さんもJJSA全日本選手権シリーズへの参戦を決め、さらにホンキで練習に取り組んだとか。

その結果、第1戦でいきなり1位に! 表彰台のテッペンを射止めました。

おめでとうございます!


撮影協力

55 HEAVEN
https://www.facebook.com/JetShop55heavengogohevun

ジェットフィールド湘南
https://jetfieldshonan.jp/

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