【レースレポート】13歳の少年がアメリカで躍動!佐藤進之助 2年目の海外挑戦

佐藤進之助の
海外挑戦記 第二章がスタート

佐藤進之助、13歳。日本での免許取得を待たず、海を越えて水上バイクのレースに挑む少年が、2024年5月に2年目となるチャレンジをスタートしました。

舞台は米国カリフォルニア州で開催された『Best of the West』のシリーズ第5戦。

Moto-Surfと銘打たれたこの大会は、サーフスポットとしても有名なハンティントンビーチで開催される米国でも数少ないサーフレースです。

進之助くんは昨シーズンもこの大会に参戦しましたが、大荒れの水面コンディションに苦戦を強いられました。

速く走るだけでなく、ここで勝つためには波のなかで走るスキルが必須。

そのためレースが終わってからの1年間、進之助くんは波に対する走り方の理論を徹底的に研究したそうです。

時には大阪から千葉まで出向き、村尾高明さん(波を使ってトリックをおこなう『フリーライド』の日本の第一人者)に様々な波の特性や対処法を教えてもらったとか。

その甲斐もあり、レース前の練習走行からまずまずの手応えを感じたといいます。

「前回はコースをまともに周回できないぐらいの状態だったけど、今回はしっかり周りのライダーにも付いて行けたので、もしかしたら優勝も……、と少しだけ思いました」

「今回はたくさんのひとがサポートしてくれて、レースに集中できました」と父・保宏さん。現地ライダーも手を貸してくれたそうです。
海外のライダーとも笑顔でコミュニケーション。英会話も上達中!?
前回は進之助くんを安心させるため父・保宏さんもライダーとして出場しましたが、今回は2年目で進之助くんも多少の余裕があり、マシントラブルのリスクも考慮してサポートに専念

2年目で感じた
たしかな手応え

そうして迎えたレース本番。

午前中は曇り空ながら風はそれほど強くなく、良い波が入る海面コンディション。

「前回よりも緊張感は薄れてスタートに集中できた」というコメントのとおり、MOTO 1はスタートからトップ集団を走る絶好の立ち上がり。

すぐに先頭に立ち、そのまま順調にレースを進めていきますが、ここでアクシデント。

大きく転倒し、順位を落としてしまいます。「今までトップを走る経験がなかったので、緊張からか硬くなりすぎていた」と父・保宏さんは振り返りますが、その後の追い上げも届かず、結果は2位でフィニッシュ。

昨シーズンから考えれば健闘したといえそうですが、あと一歩でトップを逃したため本人としては悔しい結果に。

午後からはMOTO 2のレースですが、風が吹いてきてやや波が崩れたコンディションに。

前年の進之助くんであれば嫌がりそうなレース海面ですが、撮影に赴いたカメラマンいわく「水上バイクに乗ることは当然、現地のライダーの方が慣れているけど、波のなかを走るスキルは頭ひとつ抜けていた」と評するその実力は本物。

スタートからすぐに先頭に立つと、その後は盤石の走りで全艇をラップ。

2年目とは思えない快走でトップチェッカーを受けました。本人も波に対する確かな手応えを感じたようです。

「周りのライダーは追い波を超えるタイミングに迷って刺さったり、波のうえにとどまってペースダウンしていたけど、僕は追い波が得意なのでそこで差がでました。とにかく速く走ろうとガンガン握らないで、ゆっくりでもいいから波を見極めて走ったらうまくいきました」

追い波が得意なライダーは珍しいそうですが、保宏さんいわく「ジャンプのタイミングとか、先が見えない状態で飛んでいくのはモトクロスと同じ。普段モトクロスで練習している成果がでたと思います」とのこと。

これまで積み重ねてきたものが、大きく花開いたようです。

初日の結果から暫定1位で迎えた2日目は、MOTO 3からスタート。

この日は初日と打って変わって強風で大荒れの海面に。しかしライバルより波を捌くスキルに分がある進之助くんは、ここでもトップに立つと後続を大きく引き離す走りを見せます。

そのまま残り半周に差し掛かり、1位は間違いなしという状況でしたが、ここでまたもや大転倒。

マシンが遠く離れてしまい、全力で泳いで再スタート。間もなくチェッカーを受けましたが、進之助くんは自身の順位を把握していなかったそうです。

結果は無事に1位となり、その後、海面コンティションがさらに悪化したためMOTO 4は中止に。

2年目にして早くも『優勝』という最高の結果を手にしました。

本人のコメントは「MOTO 4もしっかり走ったうえで1位になった方がもっとやりきった感があったかもしれません」と大人びた内容でしたが、もちろん内心では喜んでいたことでしょう。

サーフレースは元々波があることを前提としているため、基本的にはどんなコンディションでも決行されるとか。それでも中止となった今大会の2日目が、どれだけ大荒れだったかおわかりいただけるでしょう
前回は父子2人での参戦でしたが、今回は家族4人で渡米。食事や洗濯など生活面での心配がなくなるとともに、家族が全員いることで進之助くんもリラックスした状態でレースに臨めたそうです

日本での凱旋レースも終え
次戦は米国シリーズ戦と世界大会

見事、初優勝を手にした進之助くんですが、彼の挑戦はここで終わりではありません。

6月6日(木)から9日(日)には日本で開催された『WGP #1 Asian Championship 2024』に出場し、日本での凱旋レースを終えました(詳細は別記事で)。

9月には今回出場した『Best of the West』のシリーズ最終戦に出場。そして10月には最終目標である『IJSBA WORLD FINALS』に参戦する予定。

「どのレースも当初の目標の5位以上を目指してがんばります」とのことなので、今後も日本の若武者の活躍に注目です。

photo/Jin Omura

協力/FORCE https://tw1.jp/

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