【コラム】K38 JAPAN「HOT WATER SAFETY」vol.154|水上バイクレスキューの歴史と進化


K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。


世界的な水上バイクレスキューの発展

水上バイクは1973年にカワサキが「ジェットスキー」を発表したことで一般に普及。当初はレジャー用途が中心でしたが、その機動性や迅速な対応能力が注目され、1989年に米国のショーン・アラディオが水上バイクを水難救助活動に活用する革新的な試みを開始。

この取り組みは水上バイクがレジャー用途にとどまらず、水難救助の実践的なツールとして役立つ可能性を示しました。

1990年代にはアメリカ沿岸警備隊(U.S. Coast Guard)やライフガード組織が水上バイクを本格的に導入し、水上バイクを用いたレスキュー技術の体系化が進みます。この流れのなかでK38が米国で設立され、水上バイクレスキューに関する専門的な訓練プログラムを確立。

特にK38の創設者であるショーン・アラディオは、水上バイクの安全かつ効果的な運用方法を体系化し、その技術は米国をはじめとする世界各国の水難救助機関に広がりました。

日本におけるK38 JAPANの役割

日本国内での水上バイクの普及は1980年代から進んでいましたが、こちらもレジャー用途が中心で救助活動への導入は限定的でした。しかし2000年代に入り、K38 JAPANが米国K38の水難救助技術を日本に導入し、水上バイクレスキューの訓練体系を確立。

日本国内でも水上バイクを用いた水難救助活動の重要性が認識されるようになり、K38JAPANは消防、警察、海上保安庁、ライフセービング団体を対象とした専門的な講習を実施してきました。

さらに2011年の東日本大震災において、K38 JAPANの訓練を受けたレスキューチームが水上バイクを活用した救助活動を実施したことで、水上バイクの機動力と即応性が改めて評価されました。

この経験をもとに、多くの公的機関が水上バイクを災害時の緊急対応ツールとして導入するようになり、日本国内における水上バイクレスキューの発展が加速したのは間違いありません。

現在K38 JAPANは、日本国内における水上バイクレスキューの専門教育機関として、ライフセービングクラブ、水難救助機関、自治体と連携しながら安全な水上バイクの運用と技術向上を推進しています。

K38 JAPANの使命は単なるレスキューテクニックの提供にとどまらず、水上バイクを活用した水上安全文化の確立と社会的信頼性の向上にあります。

今後も国際的なネットワークと協力しながら、日本における水上バイクレスキューの発展を牽引し、さらなる安全性と技術の向上を目指していきます。


K38ジャパン

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