【コラム】K38 JAPAN「HOT WATER SAFETY」vol.156|水域別の特徴とそれぞれのリスク


K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。


水上バイクはその機動性と即応性により、水難救助や安全管理の活動に欠かせない存在となっています。

しかしその性能を最大限に活かすためには、「水域の特性」を正確に理解することが重要です。海・川・湖にはそれぞれ特徴があり、それを知らないと思わぬトラブルや事故を招く要因となりかねません。

みなさんも普段何気なく乗っている水域の特徴とそこに潜むリスクについて、この機会に考えてみましょう。

◇ ◇ ◇

まず「海」の場合は、潮流や風、うねり、視界不良など、ダイナミックな変化が常に起こりうる環境といえます。特にリーフや岩礁、サンドバーが絡むエリアでは、水中の地形変化がリスクを増幅します。

水上バイク操縦者は当日の気象情報や潮汐を把握することが重要で、時には出航しない判断も必要です。そして広大な海にも航行ルールは存在します。事前に把握したうえで、確実な順守が求められます。

次に「川」ですが、一見穏やかでも流速や水位の変化が急な場合があり、流木や水中障害物といった“見えないリスク” が潜んでいることも。

堰や水門付近では逆流や渦流が発生することもあり、流される方向に注意が必要です。河口堰の付近は立ち入り禁止になっている場所もあるため、事前に把握しておきましょう。

また川で水上バイクを用いて水難救助などをおこなう場合は、上流と下流それぞれの状況把握が重要であり、事前偵察や避難ルートの確保が必須となります。

最後に「湖」は静穏な水面が特徴ですが、もちろん油断は禁物です。急な天候の変化による突風や孤立した岸辺、通信の届かないエリアなどがリスク要因となります。

特に観光地化された湖では、遊泳者やカヌー、SUPとの共存が求められ、ルールの把握と慎重かつ丁寧な航行が必要になります。

そしてどの水域にも言えることですが、「地域ごとの規制やルールの違い」があることも忘れてはいけません。

たとえば進入禁止区域や通航ルート、運航時間の制限、地元漁業との共存ルールなど、日本各地でいわゆるローカルルールと呼ばれる細かな取り決めが存在します。

水上バイク操縦者は、それぞれの地域の特性と法的規制を正しく理解したうえで運用しなければなりません。

私たちK38JAPANは、水上バイクを単なる“乗り物”としてではなく、救助の現場に立つ責任ある道具として捉えています。

海・川・湖それぞれの環境に適応した知識と判断力、そして地域への敬意を持つことが、真のプロフェッショナルの条件といえるでしょう。

 


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