小笠原の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火によるものとみられる軽石が、沖縄県をはじめ、各地に漂着しています。この軽石がプレジャーボートや水上バイクのエンジンの冷却系統に入り込むことにより、悪影響を与える可能性があります。
このため、国土交通省 海事局とプレジャーボートの製造事業者の団体である一般社団法人日本マリン事業協会は、軽石による被害の防止や安全な航行のための「プレジャーボートの軽石対策」を取りまとめ、発表しました。
プレジャーボートを運航する際は、本対策を参考に、軽石による被害の防止と安全な航行に努めましょう。
なお報道発表資料では水上バイクだけでなく、船外機ボートや船内機ボートの軽石対策もありますので、気になる方は最下部のリンクからどうぞ。
プレジャーボートの軽石対策(エンジン付きボート、水上バイク)
共通の対策
航行開始前
- 海上保安庁、気象庁などのHPを確認し、航行する予定の海域における軽石の漂流情報を入手するなどの事前準備を行い、軽石が漂流している海域での航行を避ける
- エンジン冷却のための海水取入口や海水こし器に軽石が詰まることにより、エンジンがオーバーヒート状態※となる可能性があるため、事前に、取扱説明書などにより対処方法を確認するとともに、取扱説明書などを携行する
※エンジンが十分に冷却されず、通常運転時よりもエンジンが高温になっている状態。温度が一定レベルを超えた場合に、警報が鳴るよう設定されているものが多い。無理に運転し続けると、エンジンの焼付きや損傷に至るおそれ
航行中
- 常に、海水面や海水の色の変化に注意し、明らかな差が見られる場所や浮遊物がある場所には近寄らない
- 航行中に軽石に遭遇した場合は、エンジンの回転数を落とし、徐行または惰性で航行し、その場所から離れる
- 万が一、航行中にトラブルが発生した場合、支援を要請する
帰港後
- 毎回、海水取入口、海水こし器などを確認し、軽石などが詰まっている場合は、除去する。
水上バイクの軽石対策
- 軽石の有無に関わらず、砂浜などの浅い海域(水深60cm程度以下)では、砂や小石を吸い込んで故障するおそれがあるため、航行を避ける
- パイロットウォーター*の排出口がある機種の場合は、航走開始時、および可能な場合は航走中も定期的にパイロットウォーターの水量に異常がないか確認する
*エンジンを冷却する海水が正常に循環していることを確認するために、海面上に排出される冷却海水の一部(海水でエンジンを冷却する方式の機種のみ) - 異音や異常な振動がある場合*、警報が作動した場合**には、スロットルを元に戻し、速やかにエンジンを停止し、支援を要請する
*吸い込んだ軽石がインペラに挟まっている可能性も考えられ、内部が損傷するおそれ
**吸い込んだ軽石が海水取入口に挟まるなどしてエンジンが十分冷却されず、オーバーヒート状態となっているおそれ
小さな軽石を吸い込むことで懸念される長期的影響
- スコープゲートを通過した軽石が海水とともに後部から噴射される過程で、インペラやポンプケース内部を損傷させるおそれがある
- パイロットウォーターの排出口がある機種の場合は、粉砕された軽石の一部が海水取入口から入り、軽石の水に浮く性質により排出しきれずに海水通路内に蓄積するおそれがあり、エンジンを冷却する能力が低下して、オーバーヒート状態となることが懸念される。この場合、海水通路内の軽石の除去が必要となる