海外の新興メーカーからはすでに電動水上バイクが市販化されており、エンジンとガソリンを必要としない電動モデルはすでに現実のものとなっている。
であるならば、そろそろ水上バイクの3大メーカーからリリースされても――。
そう思う反面、既存の水上バイクメーカーが発売するとなれば、安全面や性能など、より多く、より高いハードルが待ち受けていることも容易に想像できる。
遠くはないけれど、それほど近くもない。
電動水上バイクの本格的な普及はもう少し先の未来だと個人的には思っていたが、どうやらBRPは、そうは考えていなかったようだ。
BRPから2021年春に発表されたニュースリリースによると、今後5年間で3億ドルを投資して、既存製品のEV化を本格始動。
しかも2年以内に最初の電動モデルを市場に投入し、その後すべての製品に急速に展開していくという具体的なプランにまで言及されている。
BRPの製品といえばスノーモービルのSki-Doo、3輪リバーストライクやオフロードバギーのCan-Am、そして水上バイクのSea-Dooと多岐にわたるが、それらすべてに近い将来、電動モデルが投入される。
2019年に開催された「CLUB BRP 2020」では電動モデルがコンセプトとして展示されていたが(写真)、いよいよEV化に向けて本格始動というわけだ。
Sea-Dooのエンジンでもお馴染みのRotax製EVパワーユニットを開発し、カナダには電動モデルの開発センターも設立するというから、その本気ぶりがうかがえる。
「私たちはつねに、EV化の実現については“if(もし)”ではなく“when(いつ)”だと言ってきました。そして今、新しい電動モデルの計画をこうして発表できることを非常にうれしく思います」
社長兼CEOのジョゼ・ボアジョリーがこう語るとおり、BRPはこれまでにも想像もしていなかったようなまったく新しいノリモノや、世の中をあっと驚かせる技術革新を成し遂げてきた。
そのアイデアと技術力をもって「電動モデルを開発するための最良の戦略を準備しています」とジョゼは付け加える。
もう少し先の未来のハナシではなく、近い将来、BRPから電動水上バイクがリリースされることはほぼ間違いなさそうだ。
果たしてどのようなカタチで、我々の前に姿を現すのだろう。期待を胸に秘めつつ、指折り数えてその時を待つことにしよう。