2019年に誕生した、スポーツフィッシング用水上バイクBRPシードゥFISH PRO。業界初のスポーツフィッシング用モデルでありながらその完成度は高く、ビギナーの釣り人にも使いやすいことはもちろん、ベテランの釣り人も満足できるフィッシング専用装備が充実。
釣り好きな水上バイクユーザーはもちろん、これまで水上バイクと接点のなかった釣り人の興味もひきつけている。
FISH PROのフィッシング装備
①拡張リアプラットフォーム
ST3ハル後端に専用のエクステンションを取りつけることで、リアプラットフォームを拡張。全長は283mm延長されている。これにより大型のLinQフィッシング用クーラーボックスを装備してもなお、余裕のあるスペースを確保。静止安定性も高まり、キャスティングや魚とのファイトを、安心しておこなえる。
LinQアタッチメントが2セットあるので、FISH PRO付属のLinQフィッシング用クーラーだけでなく、オプションのLinQアクセサリを同時に使用することも可能だ。
②LinQフィッシング用クーラー
51リットルの大容量クーラーボックスを標準装備。内部の水を抜くドレンは2か所あり、紛失防止のため、ボルトはワイヤーで接続されている。4個付属するロッドホルダーは、ボックスの前面(トローリング用)・側面・後面の好きな位置に装着できる。もちろん、オプションで追加することも可能だ。
クーラーボックスのフタはフラットになっており、目盛りも刻まれている。仕掛け交換や釣った魚の計測、シメ作業テーブルとして使用可能だ。
ボックス前面は、ソフトルアーの袋や薄いタックルボックスなど、すぐに取り出したい小物の収納に便利なポケットを装備(黒い網目状のゴム部分)。その左右に斜めに取りつけられているのが、トローリング用のロッドホルダーマウント。
FISH PROにはLinQアタッチメントが2セットあり、どちらにもLinQフィッシング用クーラーを装着可能だ。前側に装着すれば、ファイト中にランディングネットなどに手を伸ばしやすくなり便利。後ろ側に装着すれば、シートとクーラーボックスの間に空間が生まれ、荷物を仮置きしたり、作業がしやすくなる。ただし、氷などを入れて重くなったクーラーボックスを後ろ側に装着すると、走行時の船体挙動に影響がでることも。長距離や高速での走行時は、前側への装着が推奨されている。
③フィッシング対応ベンチシート
現代の水上バイクのシートは、ライダーの腰をサポートするハイバック式が多いが、FISH PROは、座ったままお尻を滑らせてシートの上を移動できるように、フラットなベンチシートを採用。魚とのやりとりもストレスなく、スムーズにおこなえる。
④ガンネル用傾斜付フットレスト
横向きに座って釣りをする際に、足が滑らないように、ガンネルに傾斜付のフットレストを装備。立ち上がったときも片足を前に出してガンネルに乗せれば踏ん張れるので、ファイトの自由度も高まる。
⑤Garminナビゲーション&魚群探知機
ガーミン製ECHOMAP Plus 62cv Fish Finderを標準装備。編集部が実際に触って調べた、設定や使い方などを紹介しよう。
ナビゲーション&魚群探知機の本体は、ワンタッチで取り外し可能。装着時は、画面の上下角を変更できる。
速度クラス4、最大32GBのマイクロSDカードをサポート。
HOME画面
赤枠で囲った【HOME】ボタンを押すと、さまざまな項目が画面に表示される。【十字キー】でカーソルを動かして、その下の【SELECT】ボタンで決定。各項目の内容は、以下のとおり。
Charts(チャート)を選択
- Fishing Chart(フィッシングチャート)
釣り用地図。専用の地図データをロードすることで、等深線など、海底の細部情報を表示できる。※BRP Sea-Dooでは、専用データの取り扱いなし。 - Navigation Chart(ナビゲーションチャート)
航海図。専用データをロードすることで、ブイやマリーナなどを表示。※BRP Sea-Dooでは、専用データの取り扱いなし。 - Perspective 3D(パースペクティブ3D)
船舶の上方からの視点でナビゲーション。
Sonar(ソナー)を選択
- Traditional(通常魚探ソナー表示)
通常の魚探ソナー表示。画面表示中に【MENU】ボタンを押すと、画面のスクロール速度やレンジ、ズームなどの設定ができる。画面右側の垂直フラッシャーは、高速で移動中など、ソナーデータが画面を素早くスクロールして見逃す可能性のあるターゲットの応答を識別できる『Aスコープ』表示。【MENU】→「Sonar Setup」→「Appearance」→「A Scope(ON/OFF)」で表示・非表示が選択できる。 - Clear Vu(クリアビュー)
高周波ソナーにより、通常のソナー表示よりも詳細な画像を提供。航行中のボート下にある物体を詳細に表示できる。※FISH PROでは動作保証外 - Traditional+Clear Vu(トラディショナル+クリアビュー)
通常の魚探ソナー表示とクリアビューの画面を分割表示。 - Split Frequency(異なる周波数のソナーを分割表示)
※FISH PROでは未使用。 - Flasher(円形の深度スケールにソナー情報を表示)
- Sonar Recording(ソナーレコーディング)
ソナー表示を録画。※マイクロSDカードが必要。
Frequently Used(よく使う項目)
使用頻度の高い項目を表示。
Combos(画面の分割表示設定)
チャート+ソナーなど、画面の分割表示設定ができる。
Gages(ゲージ)
風速やエンジン情報など、各種センサからの情報を表示。※FISH PROでは未使用。
Active Captain
スマホアプリと接続。ソフトウェアのアップデートなどに使用。
QuickdrawContours(クイックドロー)
自船が航行した水域の等深線マップを作成する機能。使用するためには、マイクロSDカードが必要となる。チャート画面で【MENU】→「Quickdraw Contours」→「Start Recoading」で記録開始。
GPS信号を捕捉し、適切な水深がある場所を時速16km以下で走行すると、自船シンボル周辺が緑色になり、30cmごとの等深線が記録されていく。
航跡の消し方
自船の航跡が記録されていくが、同じ場所を何度も通っていると、重なって見にくくなることも。航跡を消すにはチャート画面で【MENU】→「Waypoints & Tracks」→「Active Tracks」→「Clear Active Track」。
気になるポイントを記録
チャート画面でも魚探ソナー画面でも、気になるポイントで【MARK】ボタンを押すとウェイポイントが記録され、「Edit Waypoint」で、表示されるポイント名やシンボルを設定可能。さらに、チャート画面で十字キーを使用して作成したウェイポイントにカーソルを合わせ【SELECT】ボタン→「Navigate to」→「Go to」で画面の自船シンボルとウェイポイントが直線で結ばれ、到着するとアラームが鳴る。
フィッシュシンボルの表示方法
魚探ソナーに魚の反応があった場合に、魚のシンボルマークを表示する方法。魚探ソナー画面で【MENU】ボタン→「Sonar Setup」→「Appearance」→「Fish Symbols」。
⑥70リットル燃料タンク
シードゥの2019年モデルで、70リットルの燃料タンク容量を持っていたのは、FISH PROのみ(SPARKを除く他モデルは60リットル)。少しでも長い時間、釣りを楽しめるようにするための特別仕様だったといえるだろう。なお2020年モデルでは、他モデルにも70リットルタンクが採用されている。
2020年モデル変更点
2019年にデビューしたFISH PROだが、2020年モデルでは早くも、仕様変更がなされている。主な変更点は、以下のとおり。また2019年モデルではオプション扱いだった純正オーディオだが、2020年モデルではオーディオの有無を選択できるようになった。
エンジンが170馬力にパワーアップ
2019年モデルの自然吸気1.5リッターエンジンから、2020年モデルは自然吸気1.6リッターエンジンに変更。最大出力も155馬力から170馬力へとパワーアップし、走行パフォーマンスが向上している。
LinQフィッシング用クーラーの色を、グレーに変更
2020年モデルでは、LinQフィッシング用クーラーの色がグレーに変更されている。サイズや仕様に変更はなく、カラー変更で、汚れが目立ちにくくなった。
日本ボート・オブ・ザ・イヤー2019
PWC部門賞を受賞
日本国内で販売されるボートのなかから、その年のもっとも優秀な艇を選定する「日本ボート・オブ・ザ・イヤー」。FISH PROは、デビューイヤーとなる2019年のPWC部門賞に輝いている。
FISH PROに付けたいオプション
ウインド・ディフレクター│¥16,100+税
グリップを握った手にかかる水しぶきや風を遮り、体温低下を軽減するウインド・ディフレクター。魚探には干渉しないものの、多少、操作しづらくなる。
ヒーテッド・グリップ│¥32,000+税
グリップ自体が発熱して、手の冷えを軽減。もちろん、電源はオフにできるので、夏場もそのまま使用できる。
左手側グリップの根本に操作スイッチと設定温度を示すランプがあり、エンジンを始動して3秒長押しすると、ヒーターが起動。スイッチを押すたびに、設定温度がかわる。なおこのヒーターはバッテリーから電源を取っており、バッテリーの電圧が低下しているとランプが紫色に点滅して警告。5秒以上12.5Vを下回ると、自動で電源オフとなる。使用時はかなりの電力を消費するので万が一に備え、追加のバッテリーを搭載することをオススメしたい。
温度設定は、ブルー(最低)→グリーン→イエロー→オレンジ→レッド(最高)の5段階。なお編集部のテストでは、最高設定(レッド)でグリップの温度が33℃まで上昇。冬場に心強い味方となってくれるのは、間違いない。