2021 JJSA全日本選手権シリーズ | 3rd STAGE 銚子大会 |
千葉県銚子市 銚子マリーナ海水浴場 | 2021年7月3日~4日 |
生駒 淳 Jun Ikoma
国内だけにとどまらず、世界中のレースに積極的に参戦する日本有数のトップライダー。2011年よりJJSFに参戦し、国内では2015年と2017年にはPRO RUNABOUTでシリーズチャンピオンに。海外では2012年にKINGS CUPで2クラス制覇、2018年にタイのJET SKI PRO TOURでシリーズチャンピオン、2019年にフィリピンのNATIONAL JET SKI RACEでシリーズチャンピオン、2019年のIJSBA WORLD FINALSで世界2位と、輝かしい成績を残す。
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2021年7月2日(金)|12年ぶりに銚子でレース開催
今回は12年ぶりに千葉県銚子市で開催された「JJSA全日本選手権シリーズ3rd STAGE銚子大会」にエントリーしました。
自分がレースをはじめたのは2011年なので、関東での開催は自分にとってはじめて。近場でのレースはありがたいですね。銚子は関東でも最東端なので東京から2時間ほどかかりますが、それでも5時間かかる蒲郡よりはだいぶラクです(笑)。
というわけで朝8時に自宅を出発。
いつもなら前日の夜中に出るのですが、自分のベッドで寝てからレースに行けるのは最高ですね。
10時ごろにはレース会場の銚子マリーナ海水浴場に到着しましたが、向かっているあいだもずっと雨。予報も3日間ずっと雨で、梅雨らしい天気になりそうです。
◇ ◇ ◇
今回は4tトラックに必要なモノを片っ端からぶち込んできたので、まずは土砂降りのなか、バギーやランチャーなどの濡れても大丈夫なモノを降ろしていきます。
そして12時からチームリーダーミーティングがあり、その後、練習走行がスタート。
海を見てみると、ものすごい波です。
沖からのウネリ+風波で海面はグチャグチャ。初心者なら帰りたくなるほどの荒れ模様。
そんな海の様子を見ながら、自分たちはマシンの到着を待っています。
今回はメカニックの殿井さんが琵琶湖からマシンを持って来てくれるのですが、まだ到着していないので待機。今回は愛妻アケもレースに出るのですが、そのマシンも一緒に持って来てくれるのでふたりとも待機です。
そうこうしているうちに1回目の練習走行も終盤に。このままだとコースの確認もできないままレースを迎えてしまいそうなので、急遽マシンをお借りしてコースだけは回ることに。
ストックの新型RXP-Xをお借りしたのですが、すごい波でスロットルを開けたらどこに飛んでいくかわからないほどでした。
2回目の練習走行には殿井さんが間に合ったので、次は自分のマシンで練習走行へ。
今回自分が乗るのは、マリンメカニックの最新型ガーコ(マリンメカニック・コンプリートマシン)。
できたてホヤホヤ、実戦投入1発目なので、今回はテスト的な位置付けのレースです。今年はJJSFしか出ない予定だったのですが、近場の銚子大会ということと、波もあるためテストにはもってこいということでエントリーしました。
ということでガーコのご機嫌を伺うべくコース走ってみると、レスポンスがものすごくいい!
ただ大荒れ模様のこの海面では、良すぎるレスポンスの影響で扱いづらくなる可能性も。スロットルをちょっと開けるだけでエンジン回転が上がり過ぎてしまい、うまく波に合わせられない。それとスロットルを開けたときに水圧でハンドルが押し戻されてしまうという2点が気になったので、それを殿井さんに伝えて練習走行は終了です。
今回の宿はビジネスホテルいづや。朝食付きでコインランドリーもあって、部屋も広々としていました。
2021年7月3日(土)|大荒れ模様のレース初日
レース初日の今日は8時から開会式がスタート。たくさんの来賓の方が登壇してくださいました。その後プラクティスランの予定でしたが、雨脚が強くいったん様子見。11時ごろにようやくプラランがはじまり、そのままレースとなりました。
自分のレースは今日の最後から2番目で、今回は海外戦を意識したマシンが走る「Aquabike R/A GP 1」というクラスにエントリー。
日本のレギュレーションとはちょっと違い、カテゴリーでいうとGPクラスなので改造度はMAX!
グリッド決めは番号が書いてある棒を引き、数字の若い人から好きな場所を選べるという方法で、自分は運良くインコースの1番イン側をゲットできました。
◇ ◇ ◇
完璧なタイミングでスタートを切り、1ブイも1位で通過。しかしアウトから来たマシンが速く、合流は2位でホームストレートを通過しました。
2周目の選択コースではトップ艇に付いて行き、インコースをチョイス。波がすごいので前を走るマシンの引き波も気にならないほどですが、同じ波なら負けない自信もあったので同一コースへ。
その作戦がズバッと決まり、トップ艇がインコースの最終ブイでやや膨らんだ隙にインを付いてパス。2周目のホームストレートは1位で通過できました。
あとは後続艇との距離を見ながら、波で飛ばないように走るだけです。
3周目も同じ距離感で走り、迎えた4周目。インコースを走っている最中に波で飛び、空中でハンドルを切って着水と同時にスロットルを開けた瞬間、自分もマシンもまるごと飲み込まれるぐらい波にズッポリ刺さってしまいました。
ようやく海面に浮上したころには後続艇に抜かれてしまい、追いかけようとハンドルに力を入れたのですが……
「あれ? ハンドルが切れない?」
マーシャル艇がレスキューに来てくれたのですが、ノズル系の異常だとすぐにわかったのでマーシャル艇の牽引を断り、海に飛び込んでノズルを確認。ドロップノズルの棒が抜けてステアリングノズルに引っ掛かっているため、ハンドルが切れなくなっているようでした。波に突き刺さったのも、これが原因でしょう。
大荒れの海面のなか急いで直してリスタートしたのですが、ホームストレート手前で今度は逆側が外れてしまい、また海に飛び込んで確認。先ほどと同じ状況でしたが、今後はドロップノズルを固定するボルトも外れそうに。今締め直すことはできないので、それならとドロップノズルを外してマーシャルに預け、もう一度走り出しました。
ゴールした時にはビリでしたが、当初の目的であるテストにはなったレースでした。マシンはすぐに改善されたので、明日のレースが楽しみです。
2021年7月4日(日)|次戦に繋がる上々のテスト結果に
今日は朝イチにHEAT 2、最後から2番目にHEAT 3があります。
朝イチのプラランで走ったとき、ハンドリングが自分には合わずとても乗りづらかったのですが、レースがすぐに始まってしまうため調整する時間もありません。
仕方ないので今回はこのままいくことになり、急いでスターティンググリッドに並びました。グリッドは今回もインのインです。
◇ ◇ ◇
スタートは上手くいきインコースの1位で合流も1位でホームストレートを通過。ここから15分+1周の長丁場なので、焦らず落ち着いてレースを進めていきます。
後続艇との距離を見ながら無理せず順調に周回を重ねていたのですが、7周目から周回遅れが絡みだします。後続艇もこれを待っていたばかりに、選択コースで自分とは逆側をチョイス。自分はインで後続艇はアウト、そのうしろはインという感じです。
それでもなんとか1位を守り、2位のマシンはミスブイでイレイザーを回っているあいだに3位のマシンが2位に浮上しました。
そして8周目。自分はインに行き2位のマシンがアウト、3位のマシンがインという感じで別れたのですが、合流で2位と3位が入れ替わったのを見て、やはりインコースが速いのだと確信。9周目は当然自分も2位のマシンもインコースに行きました。
ところが10周目になると目の前の周回遅れに引っかかりペースダウン。合流はギリギリで1位でしたが、危うく抜かれそうだったので11周目は仕方なくアウトへ。というのも前方に周回遅れが何台か見えたのと、目の前の周回遅れ艇がインコースを選択したため、自分はアウトにいくしかありませんでした。
案の定、合流で2位のマシンに抜かれてしまい、挙句に周回遅れのマシンにコーナー途中でブロックされトップと引き離されてしまいました。
マーシャル艇もブルーフラッグを振りながら笛を吹いてくれているのですが、まったく譲る気がないみたい。仕方なく自力でインから抜こうとした瞬間、ミスブイ? ミスコース? に近い形で目の前の周回遅れ艇がブイをショートカットし、自分とぶつかりそうになりました。
とっさにイン側に逃げて事故は免れたのですが、そのおかげでブイをひとつ回れなかったので自分もイレイザー行き。そのあいだに2位のマシンにも抜かれてしまい、結局3位でゴールとなってしまいました。
マシン性能に差があるので、周回遅れが出てしまうのは仕方ないことです。でも周回遅れの艇がうしろをまったく見ていないのは、さすがに危険。今回はマーシャルが青旗を振って笛を吹いてくれてはいたのですが、さすがにトップと2位の差がない状況で周回遅れが無理に割り込んできて、さらにブロックまでしたのではもはや違う競技になってしまいそうです(笑)。
そんなこともありましたが、今回のヒートでステアリング調整の方向性も見えて来たのでテスト結果としては上々。次のHEAT 3に向けて調整します。
◇ ◇ ◇
夕方になり、最後のHEAT 3。今回はマシンの調子が良さそうだったので、アウトコースの大外をチョイスしてみました。
スタートはうまくいきアウトコースの1位でしたが、合流はインコースのマシンが速く2位でホームストレートを通過。2周目でトップ艇はアウトに行ったので、自分はインコースを選んだのですが距離は変わらず。
試しに3周目はトップ艇と同じアウトコースに行ったら、合流でインから来た3位のマシンに抜かれそうに。
「トップの逆に行かないと、自分が抜かれてしまう」
仕方ないので4周目以降はまたインコースに戻し、その後は上位3艇に順位の変動はなくレースが進んでいきます。
ところが7分を過ぎたことから、エンジンに異変が。だんだん回転数が上がらなくなってきて、11分を過ぎたところでアイドリングに。最終的にはエンジンストップ。原因はオイルクーラーの付け根が折れて、冷却水で船内が水没したためでした。
結果は残念ながらリタイアとなってしまいましたが、とても良いテストになったので結果は良し。
なにより愛妻アケがA RUNABOUT SLTDクラスで優勝してくれたので、全部OK。自分たちにとってはとても良い大会となりました。
コロナ禍に悪天候が重なったなかでもレースを開催してくださったJJSAスタッフのみなさんや銚子大会の役員の方々には、心からお礼申し上げます。
そして今回も応援いただきましたスポンサーさま、読者のみなさま、チーム#1 POUND ONEのみんな、お手伝いいただいたみなさま本当にありがとうございました!
#1 POUND ONE
#86 生駒 淳