生駒 淳の国内レース参戦記#07|JJSF全日本選手権シリーズ第5戦&6戦 蒲郡大会

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2021 JJSF全日本選手権シリーズ 第5戦&6戦 蒲郡大会
愛知県蒲郡市ラグーナ蒲郡 2021年8月21日~22日

生駒 淳 Jun Ikoma
国内だけにとどまらず、世界中のレースに積極的に参戦する日本有数のトップライダー。2011年よりJJSFに参戦し、国内では2015年と2017年にはPRO RUNABOUTでシリーズチャンピオンに。海外では2012年にKINGS CUPで2クラス制覇、2018年にタイのJET SKI PRO TOURでシリーズチャンピオン、2019年にフィリピンのNATIONAL JET SKI RACEでシリーズチャンピオン、2019年のIJSBA WORLD FINALSで世界2位と、輝かしい成績を残す。

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2021年8月20日(金)|陸上7.5時間、水上10分の悲劇

今回は自分が本命と位置づけている、JJSFのレースに参戦。金曜日に会場入りして、まずは練習走行からスタートです。

このレースが終わった翌日には、アメリカのアリゾナ州レイクハバスでおこなわれる世界大会「2021 IJSBA WORLD FINALS(ワールドファイナル)」に出場するためのマシンをコンテナにバン詰めする予定。

レース終了後から時間的に余裕が無いのですが、ハバスで使うエンジンを今回のレースでテストしておこう、ということになり、ひとまず練習走行で様子を見ることに。

インコースとアウトコースを1周ずつ走り、ここまでは問題なかったのですが、最後にもう1周と思ったところで異変に気づきました。

すぐさまエンジンをストップして岸まで押していき、チームテントに戻ってメカニックの殿井さんに電話したところ、琵琶湖までマシンを運んでエンジンを載せ替えることに。

実は会場入りする前にも琵琶湖でテストをして、そこからおよそ2時間半かけて蒲郡まで来ていたので、数分乗っただけで琵琶湖にトンボ帰りするとは……。

泣きながら琵琶湖までクルマを走らせ、殿井さんのショップで前のレースまで使っていたエンジンに載せ替えてすぐ蒲郡に戻ったのですが、到着したころには夜中になっていました。

そして命からがらホテルにチェックインしようと思ったのですが、なんとホテルの大型車パーキングが満車!

トレーラーをけん引した状態だし路上に駐車するわけにもいかないので、別の場所に停めてチェックインだけ済ませたら、クルマに戻って車中泊することに。

まさかほぼ1日運転して、そのまま食事も宿泊もクルマになるなんて……。

しかもアイドリングストップにしていたので暑くて寝られず、少し窓を開けてみたら今度は外がうるさくて寝られず、安眠できないまま朝を迎えてしまいました(泣)。

2021年8月21日(土)|終始マシントラブルに泣かされた第5戦

眠い目をこすりながらライダーズミーティングに参加し、その後プラクティスランがあったので、まずはPro R/A OPENのマシンで走りました。そうそう、今回はPro R/A GPとOPENの2クラスにエントリーしていて、土曜日が第5戦、日曜日が第6戦です。

OPENクラスのマシンは借り物でしたが、こちらは問題なさそうだったので2周走ったところでGPクラスのマシンにチェンジ。前日にエンジンを載せ替えたマシンでしたが、元々使っていたものなのでこちらも問題なさそう。

こちらも2周走って何事もなくプラランは終了……と思ったそのとき、先ほど乗ったOPENクラスのマシンを他のライダーさんが走らせていたところ、「走行中に急にアイドリングになってしまう!」というトラブルが発生。

自分も確認のためにもう一度乗ったのですが、たしかにアクセル全開の状態からいきなりアイドリングになるのでかなり危険です。しかも一度アイドリングに落ちると、エンジンを再始動しなければスロットルが反応しないというオマケ付き。

しかし1ヒート目まで時間がなかったのと、ハーフぐらいでスロットルを握っていれば症状は出にくいように感じたので、ひとまずこのまま乗ることになりました。

スターティンググリッドはアウトコースの2番目で、少し出遅れたのですが少しずつスロットルを開けていき、1ブイまでには先頭に。これならいけるか? と思ったのもつかの間、3ブイを回ったところで例の症状が出てマシンが急減速。

後続艇がPROクラスの選手だったので上手く避けてくれましたが、うしろから突っ込まれてもおかしくないぐらいのタイミングと場所でホントに危なかった(汗)。

その後も回転上昇→アイドリングまで低下→エンジン再始動を10回以上も繰り返しながら、なんとか4位でフィニッシュ。おかしな動きをしている自分と一緒に走っていたみなさんには大変なご迷惑を掛けしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

◇ ◇ ◇

OPENクラスのレースが終わったあとは、テントに戻ってすぐにGPクラスのレースです。

OPENとGPのダブルエントリーが自分だけなので仕方ありませんが、さすがにインターバルが短すぎて体力を回復する暇もありません。大急ぎで水分補給だけ済ませて、スターティンググリッドに並びました。

グリッドはOPENと同じくアウトコースの2番目。スタートのタイミングが一瞬遅れてしまい、インコースのマシンにホールショットを譲る形になってしまいましたが、2周目でインから抜く自信があったので迷わずインをチョイス。

トップ艇がアウトに行ったので「抜いた!」 と思ったのですが、まさかの配管が抜けて失速。「うわっマジかー!」と思いながらトップ艇の行方を確認すると、向こうも同じタイミングで失速していました(笑)。

合流は予定どおり(?)自分が前に出てトップに。しかし2艇ともポンポン船状態というか、まあとにかく遅い。エンジン音的にも問題なさそうだったので走り続けましたが、あっという間に全艇に抜かれて、トップのワンツーからビリとブービーになっていました(笑)。

しかもレース終了後に2艇のマシンを見てみたら、まったく同じ場所の配管が抜けていたというシンクロ(笑)。いや、結果を見たらブービー(6位)なので笑いごとではないんですけどね。

自分のマシンは昨夜、自分が作業を手伝った際にその配管を抜いたんですけど、その時アライメントが狂って抜けやすくなってしまったようです。

やっぱり素人は触るべからず、ですね(泣)。

◇ ◇ ◇

午後はPro R/A OPENのHEAT 2からスタート。

お借りしていたマシンは前走のトラブルが直らなそうだったので、自分がスペア艇として持ってきたイージーライダー艇を使うことにしました。できればこのマシンはあまり使いたくないのですが、仕方ありません。

ちなみに使いたくない理由は以下の4つ。

  1. 燃料を50Lしか持ってきていない(特殊な燃料なのでスタンドでは購入できない)
  2. 純正ウォーターボックスを付けたので排圧が高すぎてエンジンへの負荷が大きい
  3. 5時間までと制限されているピストンの使用可能な時間が残りわずか
  4. ショートハルなので体力の消耗が激しく直後のGPクラスに影響する

マシン的にも自分の体力的にもかなり厳しい条件が並んでいますが、もはや選択肢はないのでそんなことも言ってられません。とりあえず今日はこれで凌いで、明日のレースはまた考えることに。

グリッドはHEAT 1と同じアウトコース。スタートのタイミングは上手くいき、アウトのホールショットで合流も1位。その後もじゃじゃ馬を乗りこなしながら後続艇をなんとか抑え、トップフィニッシュとなりました。

◇ ◇ ◇

間髪入れずにGPクラスのスターディンググリッドへ。これまたアウトコースからのスタートだったのですが、タイミングはバッチリでアウトコースのホールショット。合流も1位でした。

あとはこのままマシンを温存しながらゴールするだけ。そんなことを考えたのがダメだったのか、2周目のインコースを走っていたときにまたもや配管が抜けて失速。

あっという間に最後尾まで順位を落としてしまったため、これ以上はリスクしかないと3周目に入ったところで泣く泣くリタイア。

ワールドファイナル前ですから、無理して順位を上げるよりもマシンを温存しようという苦渋の決断でした。

結局、第5戦の総合順位はPro R/A OPENが2位、Pro R/A GPが7位という結果でした。

2021年8月22日(日)|第6戦も波乱の展開に

朝イチのプラランでOPENクラスのマシンをテストしたのですが、昨日と状況は変わらず。今日はイージーライダー艇で2ヒート走ることになってしまいました(泣)。燃料は足りる? ピストンはもつ? など不安は尽きませんが、頑張っていきましょう。

OPENクラスのスターティンググリッドは今日もアウトの2番目。スタートのタイミングは上手くいき、アウトコースのホールショットで合流も1位でした。

そのまま最後までマシントラブルもなく、トップを守りきって1位でゴール。走っている最中もヒヤヒヤでしたけど、無事に走り切れて良かったです。

◇ ◇ ◇

今日も前日と同じく、OPENクラスのあとはすぐにGPクラスのレースです。今回もまたアウトコースですが、マシンはワールドファイナル前なので温存したいということもあり、ブーストを下げました。

スタートのタイミングはバッチリだったのですが、インコースのマシンが速くやっぱり合流は2位。

2周目にトップ艇がアウトに行ったので自分はインをチョイスしたのですが、こっちは思ったより波があって予想以上に大変! 抜き切ることができずに、2位のまま3周目に。

自分はここで、意図的にゆっくり走ってトップ艇のペースを落とす作戦を実行。うしろからガンガン追われていなければ無理にハイペースを維持しないはずですし、そのうえで周回遅れが絡めば差が詰めやすくなるはず。

そう思っての作戦でしたが、走っている台数が少なく思うように周回遅れがでてきません。目論見どおりに周回遅れが絡んでくれたのは8周目ぐらいで、そこから一気にペースをあげて差を詰めたのですが、ラストラップで自分が周回遅れに絡むという墓穴を掘って結局2位でフィニッシュ。

そしてひとつ気づいたのは、やっぱりブーストを下げるとテンションも下がりますね(笑)。

◇ ◇ ◇

午後はOPENクラスのHEAT 2から。

燃料はなんとか足りそうでしたが、やっぱりすぐあとに控えているGPクラスのためにも体力は温存したいところ。

スターティンググリッドはアウトコース。スタートのタイミングはバッチリで、アウトコースのホールショットで合流も1位でした。

しかしその後の周回は、2位の選手が選択コースで毎周自分とは逆に行くのでなかなかペースを落とせません。休まる暇がないまま頑張って走ってしまい、体力を大幅に消費。

なんとか1位でゴールしたものの、最終ヒートだったのでインスペクションもあり、チームテントに戻ったときにはすでにGPクラスのマシンを降ろすタイミングで、イスに座る間もなく水分補給だけしてすぐレースに向かいます。

◇ ◇ ◇

GPクラスのHEAT 2もアウトコースで、結局全レース同じ場所からのスタートでした。

スタートタイミングはバッチリで、ブーストも元通りにしたのでテンションもアップ! そのままアウトコースのホールショットで、インコースのトップとほぼドンピシャのタイミングで合流。

ホームストレートを2艇並んで通過し、ストレートエンドで半艇身ほど前に出られたのですが、相手の方がイン側にいたのと、次のブイが90度以上左に曲がるタイトなコーナーだったので、曲がった後イン側に入れるほど接近しきれませんでした。

でもこのまま付いていけば次の選択コースでインから抜けると思い、選択手前で差を詰めてからインコースへ。しかし合流ではわずかにおよばず、2位のままホームストレートを通過。

ストレートエンドでインに入れれば抜けると思い全開で突っ込んで行きましたが、これもわずかに届かず。

逆にブレーキが遅れた分コーナーの奥まで突っ込んでしまい、トップ艇の引き波でマシンが宙を飛んでしまいました。

ハンドルを切っていたのでマシンはエアーターンのように横っ飛びしてしまい、着水の瞬間にスロットルを開けたらドライブ系から異音が。これはやばいと思いすぐにペースを落とし、最悪2位でも仕方ないと覚悟したのですが、異音はドンドン大きくなっていきます。

明日アメリカに送ることを考えたら、無理はできないな……。そう判断して、残念ながらここでレースをやめることに。もう少し走りたかったですが、またしてもリタイアという結果になってしまいました。

戻って原因を探ってみると、なんとインペラが外れていました。こんなことあるんですね(泣)。

第6戦の総合順位はOPENクラスが1位、GPクラスが4位という結果になりました。

◇ ◇ ◇

翌日東京に戻ってから、自分の会社(I LINE)でアメリカにマシンを送るためのバン詰め。今回のレースでまあまあ派手に壊したので、大急ぎでエンジンを2機購入。早めにアメリカに行って組み付けや加工が必要になりました。足りないパーツは手持ちで持って行くしかありませんね。

ただ今回のレースで壊れてしまったことが、すべてマイナスというわけでもありません。そのままアメリカに持って行ったら、結局向こうで壊れていたでしょうからね。

そう考えれば、日本でテストできたのは良かったと思います。

急遽エンジンを用意していただいたり、それをピックアップしていただいたり、たくさんの方にご協力いただいたおかげで、なんとかワールドファイナルは走れそう。本当に感謝です。

今回も応援いただきましたスポンサー様、読者のみなさま、チーム員のみんな、ありがとうございました。次戦も全力で頑張りますので、応援よろしくお願いします!

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#86 生駒 淳

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