K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。
私が水上バイクと出会ったのは、今から17年前の2005年(編注:当コラムはK38 JAPANメンバーが月替わりで執筆しています)。
職場の業務で必要になり、当時の4級小型船舶免許を取得したのがはじまりでした。
現在の2級に相当し、なおかつ水上バイクも操縦可能な免許でしたから、取得以降は業務とレジャーで水上バイクに乗る日々が今なお続いています。
さて、そんな長年付き合っている水上バイクですが、多くのひとが「非日常を感じられること」を魅力だと思っているのではないでしょうか。
暑い夏の日に太陽の光を浴び、風と水しぶきを肌で感じながら水上を疾走する爽快感は、水上バイクならではの特権といえます。
そのことについては、もちろん私も同感です。しかし最近では、水上バイクの良さはそれだけではないとも思っています。
特殊小型船舶免許を持っているひとなら、「船長の遵守事項」の7項目はご存じでしょう。
事故を起こさない、事故に遭わないために、船舶を操縦するための心得や決まり事がここには定められているわけですが、そのなかに「発行前検査の実施」「見張りの実施」「事故時の対応」という項目があります。
この3つについて知れば知るほど、学べば学ぶほど、水上バイクの隠れた魅力が浮き彫りになってきたと私は感じます。
というのも、発行前検査の実施は「事前準備の重要性」、見張りの実施は「観察」、事故時の対応は「助け合いの心」と、日常生活においても大切なことを教えてくれているからです。
仕事や家庭、子育て、人間関係などをスムーズに進めるための秘訣が、上記3項目には含まれています。
つまり水上バイクはレジャーアイテムとしての楽しみ方以外に、「学びの道具」としての魅力も備えているのではない。私はそのように感じるのです。
特殊小型免許を取得する際には座学で知識を習得し、その後の実技で操縦方法を学びますが、インプットしたことを即アウトプットする学びの黄金法則を実践しています。
また海のルールだけではなく、シーマンシップという心構えも日常生活において大いに役立つのではないでしょうか。
今年の夏は例年以上に水上バイクの事故やトラブルが報道され、後味の悪い状態でシーズンが終わろうとしています。
事故を招くような危険走行を意図的におこない、多くのひとから「危険なノリモノ」「危ないひとたち」と思われている現状ですが、水上バイクに乗ることで多くのことを学び、水上だけではなく陸上においても水上バイクユーザーが模範的な人間になってくれることを切に願います。