ニール小林 Neil Kobayashi
ヤマハ発動機に在籍中はウェーブランナーやボートのデザインを担当し、現在も日本および海外で活躍するボートデザイナー。携わったノリモノは世界145か国以上の水上で使用され、取得した特許は約170件にのぼる。1947年7月生まれ。東京都出身。
「ウェーブランナー(マリンジェット)の父」と呼ばれるニール小林氏がアメリカ在住時からコレクションしてきた、アメリカならではの「水上バイクのおもちゃ」の数々を紹介してもらいます!
水上バイクのゲームチェンジャーを想起
アメリカのTEK TOYS社から販売された比較的クラシカルな水上バイクのプラモデル「LIGHTNING(=稲妻)」は、水上バイクのゲームチェンジャーとなったモデルを想起させるという意味では、大変意味深いプラモデルといえます。
水上バイクに似た乗り物は約90年以上前にフランスから特許がでており、その後、試行錯誤の時代が長く続きました。
そして水上バイクが急速かつ世界的に発展したのは、シットダウンタイプが生まれた1980年代の後半からです。
転覆を前提としたうえで座席を設け、落水しても後部から乗り降りができる機能性と、極限まで楽しめる運動性を創り出したことが水上バイクにおけるゲームチェンジャーのきっかけとなりました。
それまでにもシットダウンタイプはありましたが、今回のプラモデルのようにシートストッパーがあり、水中から乗降するという発想はなく、多くは船外機付きで造られました。
なかには同様の形状でジェット推進機に置き換えたPWCもありましたが、残念ながら転覆を前提としない、ただ座って操縦するというものでした。
転覆を前提に後部から再乗船できる機能が、水上バイクの新しい世界を創り出した。
そうした視点でこれらのプラモデルを見ると、なかなか面白いものです。
TEK TOYS
LIGHTNING ADVENTURE
今回紹介する3つのプラモデルは、2001年ごろにカリフォルニア州ロサンゼルスのToys “R” Us(トイザらス)で購入しました。
商品名はすべて「Lightning(=稲妻)」で、形状や構造もすべて同じですが、この「Adventure(=冒険者)」というモデルだけ異なるロゴマークのステッカーが採用。幅広い夢を感じさせますね。
TEK TOYS
LIGHTNING Green
Lightningはグリーン、ブルー、パープルの3色展開で、ロゴマークの異なるAdventureをくわえた計4モデルがあるようです。
私が所有しているのは今回ご紹介している、パープルを除いた3モデルになります。
TEK TOYS
LIGHTNING Blue
形状的にも水上バイクのゲームチェンジャーを思い起こさせる感慨深いプラモデルといえますが、実はこのシリーズ、水上バイクをイメージさせるような電動推進機を採用。
ホンモノさながらに走るのも特徴です。
※購入時期、購入場所、購入価格は筆者の記憶を元に記載しています