【インタビュー】ケンカをしても「ジェットの日」でリセット|PWC(水上バイク)×FAMILY|大中原育美・凪

親子で同じ趣味を持つことに、憧れを抱くひとは少なくありません。

コミュニケーションのきっかけになったり、子どもが大きくなっても一緒の時間を過ごせたり、趣味が潤滑油となって関係が上手くいくこともきっとあるでしょう。

近年は水上バイクでも、子どもが免許を取得して親と一緒に楽しむケースが増えています。

ここでは水上バイクが繋ぐ様々な親子の物語を、少しだけ紐解いていきましょう。


ヴィンテージマシンが繋ぐ親子の絆

HWSM 育美さんが水上バイクに出会ったのはいつごろですか?

育美(母) 20歳ぐらいのときに、兄に連れていってもらったのが最初ですね。たしか本栖湖でした、そのころはまだ乗れたので(※現在は航行禁止)。「一緒に行くか?」って言うからくっついていって。私は泳げないのであまり興味がなかったんですけど、ビューンとあっという間に沖まで行ってしまうのを見たらスゴイ楽しそうで。それからしばらくして免許を取りました。

HWSM レース全盛の時代にトップライダーとしてご活躍されていましたが、レースとの出会いは?

育美(母) 草レースに誘われて、それで3位ぐらいに入って。そこでレースの楽しさを味わったのがきっかけで、全日本のレースにも出るようになりました。そのあと結婚したのもあってレースというか水上バイクから6~7年は離れていたんですけど。

HWSM 凪さんが生まれたころは水上バイクから離れていましたか?

育美(母) 結婚したあと、今度は主人が水上バイクのレースに出ることになったので、この子も2~3歳ぐらいまでは練習とかレース会場に一緒にくっついて行ってました。

HWSM 2~3歳だと凪さんは覚えていないですよね?

凪(娘) それが意外と覚えてるんです(笑)。

育美(母) 幼なじみ女の子のパパも同じマリーナで練習していて、姉妹のように毎週遊んでいたのでそれで覚えているんだと思います。

凪(娘) 毎週マリーナに行くのが当たり前で、そこにいるみんなは家族みたいに思っていたので、離れていた期間は寂しかったです。

幼なじみの大畑梨菜さんも親子でヴィンテージ水上バイクに乗っています

HWSM 小さいころから水上バイクが身近な存在だったんですね。

凪(娘) 日常にある当たり前の存在でした。

育美(母) 水上バイクから離れていた期間も1年に1回ぐらいは乗りに行ったりしていたんですけど、そのときは凄く楽しそうでしたね。

HWSM 凪さんは小さいころから水上バイクに乗りたいと思っていましたか?

凪(娘) いつかやるんだろうな、っていうのは思ってました。みんな大きくなったら自然とやるものだと思っていたので(笑)。

HWSM では免許も16歳になってすぐに?

凪(娘) 誕生日の次の日に免許をもらって、その次の週には乗りに行きました。

HWSM 娘さんと一緒に水上バイクに乗れるようになって、お母さんとしてはどんな心境ですか?

育美(母) 実はもう一度水上バイクに乗るとは思っていなかったんです。乗るならレースに出たくなるでしょうし、レースに出るならそれなりにお金がかかるスポーツなので。でもいずれこの子が大きくなったら、どこかのタイミングで一緒に乗れたらいいなとは思っていたので、うれしかったですね。

HWSM そして現在は親子で550(カワサキのヴィンテージマシン)に乗られていますが、もう一度水上バイクに乗ろうと思った理由は何かありますか?

育美(母) 兄が村尾くん(村尾高明:ヴィンテージ水上バイクの火付け役)と出会って、550に乗るようになって、それでまた私も誘ってもらったのがきっかけです。

HWSM お兄さんが水上バイクとの縁を繋いでくれたんですね。

育美(母) そうですね、兄にはとても感謝しています。それからOUT A TIME SPORTS(ヴィンテージマシンのレース)にも出るようになって、やっぱり自分が思うように乗れないのが悔しくて、今は毎週日曜日にかならず練習しています。

2023年11月に開催されたOUT A TIME SPORTS #6では2位で表彰台に上がった育美さん

HWSM 日曜日は他のみなさんも自然と集まる日なのでしょうか?

育美(母) 次はいつとかの約束もなく、日曜日にここ(ジェットフィールド湘南)に来ればかならず誰かしらいる感じですね(笑)。みんな家族みたいな感じです。

凪(娘) 私はちっちゃいころからお世話になっているので、第2のパパママ、おじいちゃんみたいな、そんな感じです。

HWSM 凪さんは親と一緒にいたくないとか、話したくないとか、難しい時期もあったと思いますが、そういうときも一緒に来ていましたか?

凪(娘) 私はそういう時期があまりなかったです。ずっとママっ子なので(笑)。でも(水上バイクに乗る日が)家族仲を取り持つ大事な時間にはなっていました。ケンカしていても、日曜日になると仲直りできるみたいな。

HWSM そこで一緒に行かないという選択肢は?

凪(娘) なかったですね(笑)。

育美(母) ここにくると仲間がいるから、そのひとたちに会うためにケンカしていても一緒に行くみたいな感じでしたね(笑)。それでここに来るまでか帰りの道中ではもう仲直りしてるというか。同じ趣味を持っているというのは凄く大きいと思います。

HWSM 親子で同じ趣味を楽しむのは、憧れているひとも多いと思います。とはいえ10代で水上バイクを趣味としているひとはそれほど多くないのが現状ですが、周りの友人からは何か言われませんか?

凪(娘) やっぱりランナバウトだと(うしろに)乗ったことはあるって子が多いみたいで、シングルは「そういうのもあるんだ」みたいな感じが多いですね。ママのレースの写真とか動画を見せると「すごい」「カッコいい」って言ってくれます(笑)。

HWSM 最近は凪さんのような10代20代の若い世代で水上バイクに乗られる方も少しずつ見かけるようになりましたね。

凪(娘) 幼なじみの梨菜も1歳下で今は水上バイクに乗っていますし、同世代も少しはいますね。

育美(母) 私と同じように一時期離れていて、ヴィンテージで戻って来てお子さんと一緒に乗っているひとも多いかもしれないですね。やっぱりイマドキの速いマシンだとお金がかかりますから。ヴィンテージ水上バイクも陸の二輪とかと比べると高いかもしれないですし、古いものなので部品がなかなか手に入らないとか難しい部分もあるんですけど、(水上バイクのなかでは)金銭的な負担は比較的少ないかなと思います。あとは(船体が)小さいから取り回しがラクというか、気軽に乗りに行けるのも大きいですよね。

ふたりが乗るのはKAWASAKI JS 550。ヴィンテージ水上バイクの代表的なモデルです

HWSM 凪さんはランナバウト(2~3人乗りの大きな水上バイク)には乗りますか?

凪(娘) ここ(マリーナ)にいるとランナバウトを持っているひとが下ろしてくださったりするので、そのときは乗せてもらったりします。

HWSM 550とランナバウト、どちらが楽しいですか?

凪(娘) 誰かと一緒に海に出て景色とかを楽しむならランナバウトの方がいいですけど、(スポーツとして)ちゃんと乗るなら550の方が楽しいですね。

HWSM 最近は凪さんもレースで好成績を収めていますが、お母さんから見て娘さんの腕前はいかがですか?

育美(母) 元々寒い時期は乗らない子だったんですけど、OUT A TIMEに出るようになって「ちゃんと練習しなくちゃ」っていう気持ちがあるのか、最近は冬でも乗ってるのが上達に繋がっているかもしれませんね。前はマリーナに来ても乗らないで見ていたり、あとは踊ってたりしてましたから(笑)。

HWSM 乗るのが楽しくなってきましたか?

凪(娘) やっぱり楽しいですね。乗っていて気持ちいいし、ストレスがなくなる。スッキリします。

育美(母) ダイエットにもなるね(笑)。

凪(娘) そうだね(笑)。

OUT A TIME SPORTSで前々回は8位、前回は4位と着実にステップアップする凪さん。

育美(母) 体力が無いので、他のひとに「4周がんばって乗るよ!」って引っ張ってもらって、疲れてもなんとか練習している感じです。

HWSM かなり本気で乗られているんですね。もう一度ハマるきっかけになったヴィンテージ水上バイクは、どんなところに魅力があると思いますか?

育美 (母) 簡単には乗りこなせない難しさがあるけど、女のひとでも上げ下ろしができるぐらい取り回しがラクで、初期投資という意味では金銭的な負担も少ないので(水上バイクの入り口としては)始めやすいかもしれませんね。

凪(娘) 私は最初に乗ったのが1500(SX-R)だったんですけど、大きくて速くて重くて威圧感みたいなものを感じたというか。恐いっていうのが強くてあまり乗らなかったんですけど、550だとそこまでスピードもでないから危なくないし、自分で下ろせるし、乗りやすいなって。私はこっちの方が馴染みやすかったって感じですね。

育美(母) あと私なんかはけっこう歳なので、速いマシンだとGが凄くて……(笑)。遠心力とかで足がグキッてなっちゃいそうなんだけど、(550は)程よいスピード感でわりと小さいし、小回りが効くし、そういう面では安心して乗れますね。これから水上バイクを始めたい方も、まずはヴィンテージで基本を覚えるのもアリかなと思います。

親子のホンネトーク

ここからは親子別々にインタビュー!

直接言いづらいことや親子ならでは悩みなどをホンネで語ってもらい、お互いへのメッセージをボードに書いてもらいました。

とても仲が良い印象のおふたりでしたが、メッセージのシンクロ率もかなり高めでした!


娘から母へ

HWSM 水上バイクに乗っているお母さんを見てどう思いますか?

凪(娘) 昔の乗っている写真とか、自分で550をクルマに積んで乗りに行ったりしている写真を小さいころから見ていて、ずっとカッコいいなと思っていました。

HWSM 元々、親子仲はそれほど悪くない?

凪(娘) そうですね、良い方だと思います。小さいころからママが大好きで、水上バイクに乗っているママもカッコいいと思っていたし、ずっと仲良しですね(笑)。

HWSM 反抗期で口もきかないとかは無かったですか?

凪(娘) まったく喋らないとかはなかったですね。わりと普通に会話してましたし、もしケンカしてもこの数年は日曜日になればマリーナに行く日だから、そこでリセットされるみたいな(笑)。会話が無くなるぐらいのケンカをしても、ここに来て水上バイクに乗れば帰るまでには自然に戻っているような感じなので。だから日曜日が近いときにケンカになったらラッキーって(笑)。

HWSM そんなお母さんに、もっと「こうしてほしい」という部分はありますか?

凪(娘) うーん……、あんまり無いですね(笑)。すごくサポートもしてくれてますし、仲もいいのでいつまでも今のままでいてくれたらそれでいいです。

HWSM いつまでもお母さんと一緒に水上バイクに乗っていたいですか?

凪(娘) ママができるかぎり、いつまでも一緒に日曜日の恒例行事を続けていきたいですね。それが私の楽しみでもあるので。

母から娘へ

HWSM 一緒に水上バイクに乗るようになって、親子関係に変化はありましたか?

育美(母) 水上バイクに関する会話が増えましたね。「アレはどうやってるの?」とか「曲がるときはどうすればいいの?」とか。前まではただ乗ってるだけだったんですけど、最近はそういうことも聞いてくるようになりましたね。

HWSM OUT A TIMEがきっかけでそこまで真剣に?

育美(母) そうですね。最近になって真剣に乗るようになった感じです。あとOUT A TIMEはタイムアタックだから「転んでも大丈夫」みたいなのがあったみたいなんですけど、今はクローズドレースにも出ればってみんなに勧められてて、「梨菜が出るなら出ようかな」みたいなことを言い始めたので、それもあって練習しようと思ったみたいです。

HWSM お子さんではなく後輩レーサーとして、何かアドバイスはありますか?

育美(母) やっぱりケガなく楽しんでやってほしいなっていうのが一番ですね。クローズドレースになると他のひとと接触することもありますし、ちょっと心配だなっていうのもあって。海でレースなんてしたことないので、それも心配で……。

HWSM 親心ですね。でもやりたいと言われたら、止めることはしない?

育美(母) そうですね。レースに出れば他の子がライバルになるので、負けないように頑張ろうってやる気を出すのもいいことですし、もちろん楽しんでほしい気持ちはあるんですけど、やっぱりランキングとかが掛かってくると、ね(笑)。自分もそうなんですけど、悔しい気持ちを味わうこともあるでしょうし、そういうのもいい勉強になるのかなって。

HWSM 今後もまだまだ親子一緒に水上バイクに乗られると思いますが、ご自身が乗らなくなったあともお子さんには乗ってほしいですか?

育美(母) 自分がやりたいって思えるかぎりは、やっぱり乗り続けてほしいですね。一番いいのはいつまでもふたりで仲良く乗っていけることですね。


取材協力

55 HEAVEN
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ジェットフィールド湘南
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