落下事故を防ぐ! トレーラーと水上バイクの固定方法を解説

トレーラーに水上バイクを載せて走行する際は、確実に固定を!

クルマとトレーラーで簡単に運搬できるのも、水上バイクの特徴のひとつ。

自宅に持ち帰っての保管も可能ですし、何より全国各地の水辺を楽しめるのは最大の魅力です。

ハイシーズンになると水上バイクをけん引するクルマを高速道路でよく見かけますが、ところでみなさん、その水上バイクはしっかり固定できていますか?

3人乗りモデルなら400kgオーバーがアタリマエで、そんな重量物が落下したら……。

周囲を巻き込む大事故に繋がる可能性もあるため、正しい方法で確実に固定する必要があります。

というわけで、以前の記事ではトレーラーに水上バイクを載せる際のレール幅や前後位置の調整方法を紹介しましたが、今回はトレーラーに水上バイクを載せたあとの固定方法について解説します。

前回の記事はこちら

【トレーラーのセッティング】 水上バイクの積載位置を調整しよう! 適正荷重の「計測」と「調整」の方法は?

バウ側の固定方法

まずトレーラーのバウストッパーには、大きく分けて水上バイクのバウアイと同じぐらいの高さのタイプと、低いタイプの2種類があります。

低いタイプにはトレーラーのフレームに運搬時固定フックがありますが、どちらのタイプでも固定する際は水上バイクを「前と下に引っ張る」ことが肝心です。

バウアイと同じぐらいの高さのバウストッパー
運搬時固定フック

運搬時固定フックがない
バウストッパーの場合

運搬時固定フックがないバウストッパーの場合、バウローラーの下にベルトを通し、水上バイクのバウがトレーラーのバウストッパーに当たるまでウィンチで巻きあげます。

これで水上バイクを前方向と下方向に引っ張ることができます。

バウローラーの下にベルトを通さないと水上バイクを下方向に引っ張れず、さらにベルトを押さえるものがないので、急ブレーキ時などに水上バイクがバウストッパーを乗り越えて前方に飛び出す可能性がありとても危険です。

ベルトのフックがローラーの支柱に引っかかり、それ以上巻きあげられなくなったことで「固定できた」と勘違いすることもあるので注意しましょう。

運搬時固定フックがある
バウストッパーの場合

運搬時固定フックがある場合、水上バイクをトレーラーに載せるときと運搬するときでウィンチベルトの通し方が異なります。

まず水上バイクをトレーラーに載せる際、ベルトは運搬時固定フックを通さず水上バイクのバウアイに繋ぎ、ウィンチを巻きあげます。

このときに運搬時固定フックにベルトを通してしまうと、前方向だけでなく下方向にも引っ張る力がかかるため、ウィンチの巻きあげに余計な力が必要になります。

また運搬時固定フックに多くの負荷がかかり、破損の恐れもあります。

バウストッパーにハルが当たるまでウィンチで巻きあげたら、そこが傾斜のあるスロープであれば、そのままゆっくりと平らな場所まで移動しましょう。

このときは水上バイクを下に引っ張る力がほとんどかかっていないため、慎重な運転を心がけましょう。

そして平らな場所に移動したら、ベルトを運搬時の位置に変更します。

ウィンチをリリースしてベルトを緩め、バウアイからフックをはずし、運搬時固定フックに通してから再度バウアイにフックを掛けてウィンチで巻きあげます。

こうすることで、下方向と前方向に水上バイクが引っ張られ、しっかりと固定できます。

フックのベルトは使う? 使わない?

ウィンチベルト先端のフックにベルトがついているタイプもあります。

バウアイにフックを直接かけるのか? ベルトをバウアイに通してフックにかけるのか?

これはどちらでもOKですが、水上バイクのバウアイの形状によってはフックが直接かけられない、もしくはかかるけどフックのゲートが閉まらないこともあります。

そのような場合は、かならずベルトを使用しましょう。

ベルトを使う方が船体のキズつき防止にもなります。

スターン側の固定方法

スターン側の固定はいくつか種類がありますが、もっとも確実なのはスターンアイを使用する方法。

水上バイクを「下+前方」に抑えることで、上下の跳ねと後方へのずり落ちを防いでくれます。

手順とポイントを、写真を交えて解説していきましょう。

スターン側も
前方向と下方向に引っ張る

スターン側の固定もバウ側と同様に「前と下に引っ張る」ことが大切になります。

その際に役立つのが、船体後方のガンネル下、左右にあるスターンアイです。

ここにタイダウンベルトを通せば、前方向と下方向に水上バイクを引っ張れます。

シート下のトーイングフックにタイダウンベルトを通す場合、下方向への引っ張りは問題ありませんが、前方向に引っ張るためにはトレーラーフレームへのタイダウンベルトの固定位置が、トーイングフックよりも前方になるよう意識しましょう。

トーイングフックを通して固定
金属部分ができるだけ船体やスポンソンに当たらない位置に調整しましょう
ベルトをフレームに巻き付けることでも長さが調整できます

リアデッキのうえにベルトを通す場合も同様で、前方向に引っ張る力をかけたい場合はタイダウンベルトの固定位置が大切になります。

なおトーイングフックやリアデッキ上にベルトを通す際は、ベルトやラチェット金具がデッキに当たります。

そのままだとキズがつくので、ウェスや緩衝材を挟むなどで養生しましょう。

緩衝材は厚みのあるものを選びましょう

ラチェットの使い方

水上バイクのスターン(船尾)側を固定する際によく使われるタイダウンベルト。

ベルトを巻きあげるラチェットが付いたもの(以下ベルトA)と、ベルトのみ(以下ベルトB)の2本組みになっています。

まずはベルトBのフックをトレーラーのフレームにかけ、ベルトをスターンアイに通していきます。

トレーラーの反対側まで来たら、ベルトAのフックをトレーラーフレームにかけます。

ベルトAのラチェットのハンドルをくの字になるように開き、くの字の開いている側を手前に向け、くの字の頂点側から中央の隙間にベルトBを通します。

ベルトBのたるみがなくなるまで通したら、ハンドルを閉じて開いてを繰り返し、ベルトを締め込みます。

ベルトがしっかり締まったらハンドルを閉じ、走行時にベルトBの余りが暴れないように処理をします。

ベルトを外す際は、ラチェットのレバーを引いてハンドルを開けばフリーになります。

確実なラッシングと点検で
楽しい水上バイクライフを

ジャッキを上げ忘れて走行するひとも意外と多いようです

「さあ乗りにいくぞ!」とワクワク感でいっぱいの往路も、「楽しかった~」と多幸感に包まれる帰路も、トラブルがあればすべて台無しに。

事故の予防はもちろん、目的地まで問題なくけん引するためにも確実なラッシングが必要です。

またトレーラー本体や、けん引車との接続部分であるヒッチボールやヒッチメンバーの不具合で走行不能になる可能性もあります。

運行前点検や日々のメンテナンスも怠らないように心がけましょう。


協力:エムジーマリーン
https://www.mgmarine.co.jp/

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