自国開催の国際大会で
14歳の少年が奮闘
日本で免許が取得できる16歳を待たず、海外での水上バイクレースに参戦する佐藤進之助。
5月のアメリカでのレースは荒波を乗り切り、2年目にして初優勝の快挙を成し遂げたわけですが、そんな彼が2024年6月6日(木)から9日(日)にわたり、大阪府貝塚市二色の浜公園にて開催された『WGP #1 Asian Championship 2024』に参戦。
国内レースへの凱旋を果たしました。
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日本で久しぶりに開催されたこの国際大会は、海外のトップ選手も参加するため免許がなくても出場できるように特別な許可を取っています。
そのため進之助くんも日本のレースへの出場が可能となったわけですが、今大会の参戦について父・保宏さんは「息子が日本で走ること自体に意味があった」といいます。
これにはふたつの理由があり、ひとつは日本でジュニアクラスのレースがおこなわれるのに、日本人が走らなくてどうする、ということ。
そしてもうひとつは、免許制度に一石を投じたかったから。
水上バイク販売店の店主でもある保宏さんは、免許の年齢制限(16歳以上)について常日頃から各所に働きかけ、若年層が自分で操船できるような機会を作りたいと考えていたとか。
「息子が日本のレースで走ることで、何かのきっかけになれば」という思いが、今回のレース参戦にはあったようです。
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そんな思惑があったにせよ、進之助くんにとっては初めての自国、しかも地元・大阪でのレースであり、「絶対に総合優勝する」という強い思いがあったようです。
海外ではアウェーでしたが、今回は友人も応援に駆けつけ、多くのひとが声をかけてくれて、その全員が期待してくれている。
そんなこれまでに経験したことのない状況が、14歳の少年の心にはプレッシャーとして重くのしかかったそうです。
その結果、MOTO 1はミスが重なり2位に。
現役の世界チャンピオンが相手なので悪くない成績にも思えますが、そのレース内容は「何かがおかしい」と保宏さんも感じたそうです。
続くMOTO 2は前走の結果を受けてさらに前のめりになり、その結果、序盤でまさかのミスコース。結果は3位となり、思い描いていた凱旋レースとはほど遠い内容に。
落ち込む進之助くんを立ち直らせようと、保宏さんはレース後に熟考し、ある秘策を考案。
これにより気持ちが前向きになり、再びモチベーションも高まったとか。
迎えた翌日のMOTO 3では世界チェンピオンとの接戦の末、見事トップチェッカー。
目標の総合優勝には届きませんでしたが、一矢報いたことで「良い終わり方ができました」と進之助くん。
保宏さんも「チャンピオンと互角に渡り合えたことも収穫ですし、メンタルの切り替えができたことも良い経験でした。僕自身ももっと寄り添って細やかにケアしなきゃいけないことを実感できました」と振り返ります。
9月のアメリカでのレースは、さらなる飛躍を期待しましょう。