K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。
読者のみなさんこんにちは。
一気に秋が深まり、冬の到来も予感させる昨今ですが、この季節の水上は真夏とはひと味違った魅力があります。
どうか秋冬の水上バイクライフを安全に十分配慮して楽しんでください。
さて、今回のテーマは水上バイクの「速力」についてです。
マシンの性能向上にともない、誰でも簡単に100km/h以上が実現可能な昨今の水上バイクですが、そんなハイスペックマシンを操船するとき、みなさんはどのような基準で速力を決定していますか?
また水上バイクにおける「安全な速力」とはどの程度だと思いますか?
まず、水上バイクの「安全な速力」は一定ではありません。
陸上の道路とは異なり、水面状況は常に変化します。
マシンの性能や航行エリアの状況も加味して、総合的な判断のもと安全を確保するために調整することが重要です。
その判断の材料として重要なものが以下の3点です。
【1.水面の状況】
波やうねりにより水面が荒れている場合は、速力を落として安全を確保しましょう。自身の技量を超える速力で波を越えると、制御不能になり転倒する可能性も。穏やかな水面で高速航行を楽しむときも、流木などの予期しない障害物や急な波に備えて注意が必要です。
【2.船長の責任と判断力】
水上には道路のように信号がなく、標識もほとんどないため船長の判断ミスが事故に直結することも多々あります。常に「見張り」の義務を果たし、周囲の状況を確認しながら航行しましょう。特に他の船舶が近くにいる場合は、十分な間隔を開けるか速力を落として衝突の危険を避ける必要があります。
【3.視界や他船の混雑具合】
視界の良し悪しや他船との距離も、速力を決定する重要な要素のひとつです。視界が悪いときや障害物が多いエリアでは、速力を大幅に落として航行する必要があります。混雑した水域も同様で、速力を抑えて他船や障害物に対する反応時間を確保することが重要です。その際、水上バイクの停止能力や制動距離も考慮に入れることもお忘れなく。
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この3点以外にも、徐行エリアを事前に確認し、ルールやマナーに則り航行することも必要ですし、同乗者の有無によっても安全な速力は変わってくるでしょう。
船長が適切な速力で航行することは、水上バイクを安全に楽しむための義務でもあります。スロットルレバーをただ握るのではなく、あらゆる可能性を考慮してあなたと周囲が安全だと思える速力を心がけてください。