photo/Jin Omura
2年目で感じた、たしかな手応え
日本での免許取得を待たず、海の向こうで世界チャンピオンを目指して奮闘する佐藤進之助、14歳。
3年計画を掲げて親子で海外レースに参戦しているわけですが、2年目のシーズンが早くも終盤戦に差し掛かってきました。
これまでの2戦では優秀な成績を収め、国内凱旋レースでも成長した姿をまざまざと見せつけてくれましたが、次なるレースは2024年9月14日~15日に米国アリゾナ州レイクハバスで開催された『Best of The West』。
5月にも参戦したシリーズレースですが、今回の舞台はレイクハバス。
本人の最大の目標でもある『IJSBA WORLD FINALS』と同じ舞台であるため、その前哨戦として参戦しました。
ちなみに会場のレイクハバスは長年、世界大会であるワールドファイナルが開催され、世界中のライダーからジェットスポーツの聖地として認知されています。
そのため世界有数のレーサーがこの場所に移住してきており、今ではその子どもたちが毎日のようにトレーニングを積んでいるとか。
「学校に行く前か、下校後に毎日水上バイクに乗れる子どもたちがライバルですから、練習量では絶対に叶わない」と父・保宏さんが言うように、日本では水上バイクに乗れない進之助くんにとって大きなハンデといえます。
加えて米国はジュニア世代の育成に力を入れているため、進之助くんが参戦する13歳から15歳のクラスは大人顔負けのレベルなのだとか。
まさに激戦区ですが、「むしろこれから黄金期を迎えそうな米国の水上バイクレーサーたちと同じ世代で切磋琢磨できているのはラッキー」と保宏さんはポジティブに捉えている様子。
それに応えるように、進之助くんも日本にいるあいだは体幹トレーニングなどを地道に続けてパワーアップ。
成長期ということもあり体も大きくなってきたようで、「パワーがある4ストのSuperJetでも振り回されなくなってきました」と自信をのぞかせます。
Best of The West 2024
過去には自身のマシンが間に合わずレンタル艇で海外レースに参戦したこともありましたが、今回は無事に相棒のSuperJetをピックアップしてレイクハバス入り。
今大会は『Pro Am 4stroke Ski Lites』『Junior Ski 13-15 Lites』『Novice Ski Lites』の3クラスにエントリーしており、Pro Amが4スト、それ以外が2ストのクラスになります。
進之助くんにとっては2023年のワールドファイナル以来となるレイクハバスでしたが、初日の成績はPro Amが総合4位、Juniorが4位、Noviceが1位の好成績。
「午前中(序盤)のレースはいつも調子が悪い」とふたりが課題としてあげているとおり、スタートの出遅れやミスで追い上げる展開が続きましたが、ProAmクラスではトップカテゴリーに参戦するライダーもいたなかで4位まで追い上げられたことが自信に繋がったようです。
2日目も午前中に思ったような走りができず、午後のMOTO 2で挽回したものの順位を大きく伸ばすことはできず。
結果はProAmが6位、Juniorが4位、Noviceが2位となりましたが、ライバルと走れたこと、レイクハバスで走れたこと、何より日本では経験を積めない進之助くんが場数を踏めたことは、次戦に向けた大きな経験となりました。
2024 IJSBA WORLD FINALS
そして迎えた10月。
いよいよ2年目の最終戦であり、進之助くんがメインレースと位置づけるワールドファイナルがその日を迎えました。
今回は大人もエントリーする『Amateur Ski4stroke Lites』と、ジュニアクラスの『Junior Ski 13-15 4stroke Lites』『Junior Ski 13-152stroke Lites』の3クラスに参戦。
前回の反省を活かし、「序盤から調子をあげていく」ことを意識してレースに臨みましたが、今回も思うような走りがなかなかできません。
14歳の小さな肩に、気負い、プレッシャー、緊張といった目に見えない重圧が重くのしかかっていたようです。
何回か走ると堅さが取れていくようで、Junior 13-15 4stroke のMOTO 3では今大会で最高成績となる2位を奪取する会心の走りができました。
「ライディングスキルは上位陣にもひけを取らないので、あとはメンタルの問題」と保宏さんが言うとおり、戦える自信とチャンピオンへの明確な道筋を見いだしたところで、2年目のシーズンは終了となりました。
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