無人航行で災害時の救助リスクを最小限に
空を飛ぶドローンの普及により空撮が驚くほど身近になりましたが、その他にも測量や調査、点検、警備、監視、そしてレースやショーなどのエンタメといったあらゆる分野でドローンは活躍しています。
なかには5000万円のレーザー測量機を搭載して空を飛ぶ300万円のドローン、なんてものもあるようですが、そんな空のドローンが大活躍しているのだから「海のドローンも実用性があるのでは? と考えました」。
自身も20年以上前から水上バイク愛好家であり、全国でドローンスクールを展開する『日本マルチコプター協会(JMA)』の代表を務める工藤政宣さんはそう考え、マリンドローンの開発に着手したそうです。
マリンドローンは既存の水上バイクをベースに、ハンドルとスロットルレバー、リバースレバーがリモコンで操作可能ないわば「海のR/C」とでもいうべきもの。
無人で航行できるため、災害時も低リスクで迅速な初動調査が可能となります。
「たとえばサーモカメラをマリンドローンに積めば、倒壊家屋のどこに要救助者がいるかより正確に判断できます。より多くのひとを効率的に助けられますし、大型のインフレータブルボートをけん引すれば無人で多くのひとが助けられるかもしれません」
そう工藤さんが言うように、災害時の活躍も期待できるでしょう。救助隊員のリスクも軽減できそうです。




また現状はあくまで特殊小型船舶なので夜間航行はできないそうですが、それがクリアされれば夜の海での警備活動も無人で行えます。
パトランプを灯火しながら巡回することで、密漁などへの抑止力にもなるでしょう。
海難事故などで海底調査が必要になった場合、現在は日没とともに調査が打ち切りになりますが、マリンドローンなら人的なリスクがない状態で夜間も調査が続行できます。
2024年10月に東京ビッグサイトで開催された『危機管理産業展2024』でお披露目され、「すでに港湾関係や建設業の方からオーダーをいただいた」とのこと。
空のドローンと同様に、今後マリンドローンは様々な分野で活躍していくかもしれません。