【コラム】K38 JAPAN「HOT WATER SAFETY」vol.159|世界から学ぶ安全への取り組み


K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。


水上バイクは世界中で親しまれているマリンアクティビティですが、ルールや規制は国や地域によって大きく異なります。

日本国内で水上バイクに乗るなら「特殊小型船舶操縦士免許」が必要であり、航行区域やライフジャケットの着用義務なども法律で規制。

免許取得時や更新時にこれらのルールを学ぶ機会はありますが、忘れてしまっているひとも多いのが実情でしょう。

一方、アメリカやオーストラリア、ヨーロッパ諸国などでは、ライセンス制度や年齢制限が州や地域で独自に施行されている場合があり、それとは別に教育プログラムの受講が義務化されていることもあります。

特にアメリカでは「ボーティング・セーフティ教育」を義務化している州が多く、オンラインでの受講や修了テストを通じて、利用者の安全意識を高めています。

日本でも免許取得後に定期的な講習を実施すれば、知識の再確認や最新情報へのアップデートが可能になり、それと同時に安全について考えるいい機会にもなるため、気持ちも引き締まるのではないでしょうか。

またアメリカでは事故の多いエリアに“水上バイクゾーン”が設定され、きっちりと区画がわけられている点も見逃せません。

利用時間も制限され、騒音対策にもなることから、地域社会や他の水域利用者と気持ちよく共存することが可能になります。

日本でも一部の地域ではローカルルールが設けられていますが、統一感に欠けていたり、認識の違いが地域住民だけではなく利用者間のトラブルの要因にもなっています。

ルールを破っているひとは「知らなかったから」と口にするひとも多いようですから、出航前には航行区域のルールをしっかり確認しましょう。

◇ ◇ ◇

こうした海外の取り組みから、私たちが学べることは少なくありません。

「操縦技術」よりも「判断力」「マナー」「リスク意識」を重視した教育が海外では浸透していることも、そのひとつといえるでしょう。

水上バイクの事故の多くは技術的な要因ではなく、判断の誤りによって発生しています。

それを踏まえると、今後の日本においても「技術+意識教育」の強化が急務ではないでしょうか。

K38JAPANでは、国際的なレスキュー基準に基づいた安全教育を提供しながら、今後は「利用者による自己管理能力の底上げ」を目的とした学習機会の提供も進めていきます。

ルールを守ることが罰則回避のためではなく、「自分と仲間の命を守る手段」であるという意識を育てるために、我々も学び続けなければなりません。


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