【コラム】K38 JAPAN「HOT WATER SAFETY」vol.168|人命救助に必要な3つの「S」


K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。


水上バイクは楽しむためのノリモノであると同時に、いざという時には人の命を守るツールにもなります。

日本でも地震やそれにともなう津波、さらには豪雨といった自然災害が増えており、実際に水上バイクの活躍で救われた命も少なくありません。

そんな水上バイクレスキューにおいて本当に重要なのは、マシンの性能や特別な技術ではありません。

「正しい考え方」と「リスクを理解する力」こそ、人命を救助するうえでの最重要項目といえます。

それを踏まえて、K38では「3S」を大切にしています。

これは「Safety(安全)」「Simplicity(シンプル)」「Speed(スピード)」の3つで、まずは安全を確保することが最重要。

要救助者の安全はもちろん、助けに行く人の安全も忘れてはいけません。

次に無駄な行動や思考をできるだけ省き、シンプルに行動すること。

そして最後が、最速で助けること。

多くのひとは要救助者を前にしたら、最初に「早く助けなければ」と考えるでしょう。

しかし焦りは判断を鈍らせ、より悪い状況に向かってしまうことも。

だからこそ、「早さの前に安全」という考えが基本になります。

3Sの並び順にも明確な意味があるのです。

◇ ◇ ◇

レスキューの現場では、TAD(Towable Accessory Device|レスキュースレッドなどの救助アイテム)が使用されることも多いですが、K38ではこれを「標準装備」とはしていません。

水上バイクはメーカーや年式、グレードによって構造が大きく異なり、すべての艇体にTADが適合するわけではないからです。

そもそも多くのメーカーは、TADの装着を前提に設計していません。

つまり、装備を取り付けること自体にリスクが伴う場合もあるということ。

だからこそK38では「使い方」よりも先に、「どこにリスクがあるか」を理解することを重視しています。

装備があるから安全なのではなく、その構造や限界を理解していることが安全につながります。

固定方法、負荷のかかり方、搬送時の挙動。

これらを理解しないまま使用すれば、救助どころか新たな危険を生む可能性もあります。

◇ ◇ ◇

レスキューとは、単なる技術ではありません。

状況を読み、リスクを判断し、もっとも安全な方法を選択する力であり、それは日常の操縦意識の延長線上にあります。

水上バイクに乗るすべての人にとって、「もし目の前で誰かが助けを必要としていたら」という視点を持つことは、とても重要です。

まずは正しい知識とリスクを「知ること」から始めてみましょう。


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