「跳ねないし、曲がりやすい。理にかなったFXハル」
FXシリーズといえばラグジュアリーモデルで、その走りも快適&優雅というイメージ。そこから〝スポーツ〟の香りを嗅ぎ取ることは、少し難しい。
しかし、その香りをいち早く嗅ぎ取り、可能性を見いだしたのが、トップライダーの生駒 淳だ。2018年の秋に、新たに生まれ変わった現行FXシリーズのインプレッションで、次のような言葉を残している。
「ハンドルを切った瞬間にスパッと鋭角に入って、すごく曲がる。しかもハルが長くて安定性も高いから、水面が荒れても走りやすい。レースでも、確実に通用すると思います」
実際に生駒は、2019年の国内外のレースにFXで出場。フィリピンのレースではストックのFX SVHOで、強敵を圧倒してみせた。
「ベタ水面だとパワーの差がでて、ストックのFX SVHOでは序盤に先行されてしまうけど、レース後半の体力勝負では、ラクに乗れるFX SVHOが有利。先行艇をパスできました。波がでて水面が荒れたら案の定、自分とチームメイトのFX SVHOがワンツー。他は誰も、ついてこられませんでした」
FXのスポーツ的ポテンシャルの高さは十分にわかったが、レジャーではどうだろう。
「V型ハルのFXは旋回中に船体がバンクするので、横Gによるライダーへの負担は軽減されています。ハンドルを切るとスパッと曲がるんですけど、ノーマルのスポンソンなら少しリアが抜けていくので、クルージングモデルらしい、厳しすぎない乗り味です。タンデムでも変に振られることはないし、安定性がすごく高いから、ツーリングもラクに楽しめますね。乗り手を選ばず、誰もがラクに乗れる。そんなマシンだと思います」