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こだわったのは「SJらしさ」
SuperJetというモデルを、ヤマハのラインアップから消すわけにはいかない――。
開発者の強い想いにより、4スト3気筒TR-1エンジンを搭載して生まれ変わった新型SuperJet(以下SJ)。
できる限りサイズアップを抑え、「SJらしさ」を残すことにもっとも注力したといわれているが、元JJSBAチャンピオンの橋本祐一も、その並々ならぬこだわりを真っ先に感じ取れたという。
橋本祐一 Yuichi Hashimoto
JJSBAを主戦場に、2009年から2011年にはA R/Aクラスを3連覇。2013年と2014年にはA ULTRAクラスを連覇し、2017年にはA X-2クラスでシリーズチャンピオンに。ランナバウトからスタンドアップまでなんでも乗りこなすマルチなレーサーであり、本誌試乗インプレッションではお馴染みのライダーでもある。
「斬新で近代的なデザインから新型だというのは一目瞭然なんですけど、いざ乗ってみると2ストモデルの雰囲気がしっかり残っているんですよね。
それをもっとも感じられたのがコーナリングで、SJ特有のクイックな立ち上がりは健在でした。
波で少しバランスを崩したときも、レスポンスがいいからすぐにリカバリーできるし、すごく軽快でしたね」
SJというスタンドアップは小型で軽く、軽快で扱いやすいというイメージを持つひとも多い。それを崩してしまっては、SJのモデルネームを継続できない――。
そう考えた開発陣は、SJらしさの実現を念頭に置いてハルの開発に着手。試行錯誤の末、新型SJも軽やかなフィーリングとクイックな旋回が可能になった。
トータルバランスにすぐれたスタンドアップに
SJらしい軽快なフィーリングを実現した新型ハルには、1049ccの3 気筒TR-1エンジンが搭載される。
これにより「バランスのいいスタンドアップに仕あがっています」と橋本は続ける。
「新しいSJは“どうやら小さいらしい”という前評判を聞いていたのですが、実物を見たときの印象は“思ったより大きいかな”というのが正直な感想でした。
でも実際に乗ってみたら、大きさを感じる場面はほとんどありませんでしたね。想像以上に機敏に動いてくれますし、船体が軽量だからこの排気量と馬力でも十分楽しめます。
バイクとか車と違って、水上のノリモノはエンジンパワーを100%推力に変換できるわけで
はないので、軽さとか浮力とのバランスも重要ということですね。
船体の大型化に伴って安定性も向上していますから、そういった意味でもトータルバランスにすぐれたスタンドアップだと思います」
取材当日は風が強くチョッピーな水面での試乗となったが、「ヤマハ特有の波への強さというか、安定性も感じられました。
波のなかを走った方が性能をより顕著に感じられましたし、個人的には波があった方が楽しかった(笑)」と荒れた水面での走波性も高評価だった。
ビギナーにもオススメ
そして最後に、ビギナー目線でも「断然こっち(新型)の方がいいでしょうね」と橋本は太鼓判を押す。
「旧型よりも安定しているから乗り込みもラクですし、走行時も安心できると思います。それでいて扱いやすさや乗りこなす楽しさもありますし、スタンドアップらしい“手軽さ”も継承しています。
水上バイクは手軽に遊べるのが原点なので、新型SJはそういった意味でも、原点に立ち返ったモデルといえるかもしれませんね」
ヤマハが満を持してリリースした4スト・スタンドアップということもあり、待ち望んでいたファンの期待値はかなり高い。
しかし新型SJは、そんなハードルを軽々と乗り越える完成度の高いモデルに仕あがっている。
ベテランは「SJらしさ」を、そしてビギナーは水上バイクの原点的な楽しさを、このモデルで味わってほしい。