騒音や禁止エリアの滑走で、苦情が多数。この状態が続けば動力船が禁止に!?
日本有数の透明度を誇る、北海道の洞爺湖。水上バイクやプレジャーボートを楽しめるゲレンデとしても人気だが、利用ルール違反が見られ、このままでは利用の制限や禁止される場合があるという。
北海道札幌市の水上バイク販売店『PEP BEACH』の北島代表に、洞爺湖の現状と課題について、お話を伺ってみた。
「どこのゲレンデでも同じだと思いますが、禁止区域を走行したり、いまだにウォーターボックスを外して爆音で走るひとなど、決まっているルールを守らないひとがいます。
もちろん、そういったひとはごく一部ですが、禁止されている場所を走行したり、大きな音をたてていれば目立つので、一部のひと、という意見は通用しません。
利用者の会や洞爺地区動力船乗り場を運営する観光協会は、今後も動力船の乗り入れを継続したいと考えているので、利用者にルールの再確認、徹底を呼びかけているところです。
また、これは少し別の問題ですが万が一、水上バイクなど動力船の乗り入れが禁止になった場合、トップシーズンに洞爺湖から大勢のひとが消えることになり、周辺の商店の経営が成り立たなくなってしまう可能性もあります。
それらの商店は、地域の高齢者の方々も多く利用しているので、お店が無くなってしまうと、生活に支障がでてしまいます。
支笏湖では2006年から水上バイクの乗り入れが禁止となっているので、その後、周辺地域にどのような影響があったのかなどの話も聞き、今後もさまざまな協議を続けていきたいと考えています」
屈斜路湖は2021年から、動力船の乗り入れを原則禁止に
同じ北海道の屈斜路湖は2021年から、接触事故や騒音を防ぐ目的で、水上バイクを含む動力船の乗り入れが原則禁止となった。屈斜路湖では1996年に、湖岸から200メートルまでを航行自粛水域に設定する独自ルールを設けていたが、それが守られず、岸近くでの走行や騒音への苦情が相次いだことから、今回の措置となった。
同じことが繰り返されないように、洞爺湖を利用する水上バイクユーザーは今一度、ルールの再確認と徹底を心がけてほしい。
洞爺湖の利用ルールと注意事項(洞爺地区動力船乗場の利用ルール&注意事項から一部抜粋)
- 『船舶職員及び小型船舶操縦者法」及び、関係法令を遵守すること
- 自己操縦義務を遵守すること(小型船舶操縦法)
※水上オートバイの場合:小型船舶操縦者免許証を所持していない者の操縦禁止 - 酒酔い等操縦の禁止(小型船舶操縦法)
※飲酒、薬物の服用等、正常に操縦できない状態を含む - 危険操縦の禁止(小型船舶操縦法)
※遊泳者、カヌー、カヤック、SUP、ウィンドサーフィン等から十分に離れて操縦すること
※危険の恐れがある操縦は禁止 - ライフジャケット(PFD)を必ず着用すること(小型船舶操縦法)
※ルール違反(未着用)で死亡事故発生有り - 発航前に必ず点検を実施すること(小型船舶操縦法)
※湖上での故障により、遭難事故、水没事故等発生有り - 見張りの実施をすること(小型船舶操縦法)
※周囲の状況や他の船舶等に十分に注意して安全を確保して下さい - 事故時の人命救助に協力すること(小型船舶操縦法)
- 高波等の荒天時は、乗船しないこと(事故防止)
※高波による航行時に死亡事故発生有り
※監視員から利用中止の指示を受けた場合は、指示に従うこと - 不必要なエンジンの空ぶかしの禁止(騒音防止)
- 消音器等を改造した船舶の航行禁止(騒音防止)
※特にスタンディング - 陸から300m以内の禁止区域での航行の禁止
※別紙地図参照(騒音事故防止)
※浮標(ブイ)設置箇所より陸側に入らないこと
※浮標がないところでも陸から300m以内に入らないこと
※故障等で禁止区域に入る可能性がある場合は、動力船乗り場に必ず連絡すること
※陸から300m以内の禁止区域内でのスタンディング、バナナボート等の曳行遊具、ウェイクボート等も禁止 - 中島への上陸は、全面禁止(環境保全)
- 離発着場所の厳守
※別紙地図参照 - 離発着時に禁止区域を航行する際は、デッドスロー(微速)を遵守(騒音防止)
- 遊覧船の航路に入らない、近づかないこと(安全対策)
- 取水口、放水口、漁網、浮標、ホテルには、近づかないこと(安全対策)
※苦情が多発。今後も続く場合は、利用の制限を行う場合があります - 5台以上の集団滑走の禁止(安全対策)
- 利用中に発生したゴミは、各自の責任にて持ち帰ること(環境保全)
- 燃料、オイル等の湖への投棄は絶対にしないこと(環境保全)
- 暴力団構成員、その関係者、反社会勢力等に属する者の利用は認めない(条例)
- その他の湖の利用者や地域住民の迷惑となる行為をしないこと
- ウチダザリガニの捕獲禁止(外来生物法)
※飼育、野外にはなす、生きたままの移動、人にあげたり、売ったりすると、外来生物法違反となります - 野鳥などを脅かすような航行をしない(環境保全)
- 利用する際は、受付管理小屋にて、当ルール&禁止事項への誓約書への署名、その他、所定の手続きを行なった上で環境維持整備協力金を負担し利用すること(環境保全・安全対策)
- 記載のない事項に関しては、公園監視人の指示に従うこと
- 公園監視人の指示に従わない者、このルールに違反した者は、今後の利用を認めない
洞爺湖を利用するひとは、必ず下記リンクから全文を確認してほしい。
なお、洞爺湖は動力船乗り場の営業日が決まっており、2020年は10月21日が最終日だが、8月15日からは新規の会員受け入れをおこなっていないので、注意を。
令和2年度 洞爺地区動力船乗り場カレンダー