BRPの革新的アイデアの歴史
今では当たり前となった水上バイクの減速&後進システムを、はじめて世に送り出したのはBRPでした。
iBR(インテリジェント・ブレーキ&リバース)と名付けられたこの機能は、走行中に左手のレバーを操作することで減速。
いわゆるブレーキのようなもので、陸のノリモノにおいては当然の存在ですが、水の抵抗で減速・停止をおこなっていた水上バイク にとっては画期的な発明でした。
それに付随して、前進と後進のみだった水上バイクがその場にとどまれる「中立(ニュートラル)」を与えられたこと、それらのシフトチェンジがレバーのみで操作できるようになったことも、革新的なアイデアだったといえるでしょう。
減速やシフトチェンジが当たり前の存在となった今にして思えば、iBRが登場した2009年は水上バイクにとってブレイクスルーが起きた年だったのだと強く実感します。
また同年にはiBRだけでなく、走行時の衝撃を吸収する「iS(インテリジェント・サスペンション)」を搭載したり、近年では様々なアクセサリをワンタッチで脱着できる「LinQアタッチメント」や、シートに座ったままアクセスできる「ダイレクトアクセス・フロントストレージ」など、それまで存在しなかったまったく新しいアイデアを次々に実現。
その源泉は、いったいどこにあるのでしょうか。
デニス・ラポイント
Sea-DooだけでなくSki-DooやCan-Amなどのプロダクトを数十年にわたって手がけてきたチーフ・デザイン・オフィサー。革新的なアイデアで数々の賞を受賞する、BRP製品の産みの親のひとり。
技術革新を可能にする驚きのスタイル
今回インタビューに応じてくれたBRPチーフ・デザイン・オフィサーのデニス・ラポイント氏はこのように語ります。
「私たちは発明とイノベーションの分野に多くの投資をしており、革新的なものを生み出すことに注力しています。そして『高度に革新的であること』『機能性にすぐれていること』『ワクワクする要素があること』をデザインの3 大理念に掲げ、デザイナー1人に対して10人のエンジニアでチームを組み、新しいアイデアの実現に向けて日々取り組んでいます」
その結果、BRPはこれまで多くの技術革新を成し遂げ、ユーザーに新しい価値を提供してきました。
既存の水上バイクユーザーだけでなく釣りファンの興味を獲得したFISH PROシリーズも、新たな価値を生み出した一例といえるでしょう。
世界中でアワードを受賞
そうして世に送り出されてきたBRPの製品は、世界各国で高い評価を受け、様々なアワードを受賞しています。
日本国内においてもその受賞歴は数多く、2023年度は「グッドデザイン賞」をEXPLORER PRO 170が受賞。
「バンパーや追加のストレージも特徴的ですが、もっともアイコニックなデザインはウインドシールドです。雨や風、波飛沫に不快な思いをさせられないのは個人的にもすごく気に入っています。どんな天候、どんな海況でも快適に走行できるのがEXPLORERの魅力ですね」
BRPが考える未来のモビリティ
BRPは水上、陸上、そして雪上を楽しむさまざまなノリモノを手がけており、今回はSea-Doo以外にも犬ぞりの時代に生み出されたSki-Doo、新たなマーケットを生み出した三輪モーターサイクルのCan-Am SPYDERなど、あらゆるプロダクトのデザインメソッドやルーツについてもお話しを伺いました。
そのなかで、Sea-Dooを含む全製品の電動化についてもラポイント氏は言及。
「まだあまり詳しいことは言えないけど」という前置きとともに、2027年までに全製品の電動モデルを発表すること、そして2035年までに50%の製品を電動化すると発表しました。
あと数年で、BRP製の電動水上バイクが我々の前に姿を現すことになりそうです。
今後もBRPのさまざまなプロダクトが、私たちをワクワクさせてくれることは間違いなさそうです。