全方位戦略でマリンカーボンニュートラルを目指す│ヤマハ発動機 マリン技術説明会

(左)取締役 常務執行役員の丸山平二氏 (右)上席執行役員 マリン事業本部長 井端俊彰氏

2023年12月にヤマハ発動機は東京都内でマリン技術説明会を開き、ヤマハ発動機の長期ビジョンやマリンカーボンニュートラル対応などについて説明をおこないました。

登壇したヤマハ発動機 取締役 常務執行役員の丸山平二氏からは、環境・資源課題を同社のサスティナブルな成長に関わる最重要課題と位置づけ、ライフサイクルCO2排出量でカーボンニュートラルを目指すことが、中長期目標となると発表されました。

企業活動から社員の通勤や出張、原材料調達から販売にいたるまで、そしてヤマハ発動機製品の使用時までを含め、サプライチェーン全体で排出されるCO2のうち80.5%が製品使用時であり、その内訳は二輪車が58.0%、船外機が26.4%、水上バイク/スポーツボートが4.9%、発電機4.6%、その他が6.1%。

マリン製品が、製品使用時の約31%を占めています。

このマリン製品のカーボンニュートラル対応について丸山常務は「水上を走るボートは常に大きな水の抵抗を受けており、陸上を走るクルマの10倍のエネルギーが必要であり、バッテリーによる電動化技術だけではカーボンニュートラルを達成することは困難。燃料電池や水素エンジン、カーボンニュートラル燃料など、製品や使用用途に合わせて最適な解決策を探るマルチパスウェイ(全方位戦略)での対応を進めている」と述べました。

水素エンジン船外機の開発試作機

このマリンカーボンニュートラルへの取り組みの一環として、2024年マイアミボートショーに水素エンジンを使用した船外機の開発試作機を出展することも発表されました。

また上席執行役員 マリン事業本部長 井端俊彰氏からは、マリン長期ビジョンとマリン版CASE戦略についての説明がありました。

井端本部長はマリン事業の長期ビジョンについて「ハードからソフトまでを扱う世界唯一の総合マリンメーカーとして、お客さまに信頼性と豊かなマリンライフを提供し、海の価値をさらに高める事業を目指す」と述べました。

そのために『マリン文化を変える、日常が変わる』『海・人・社会を結ぶ』『今日よりもっと素晴らしい海を、未来へ送る』『海の秘めたポテンシャルを解放する』という4つの方針に基づく取り組みを進めていくことが発表されました。

この長期ビジョンを実現するための2つの柱が、マリンカーボンニュートラル対応とマリン版CASE戦略です。

CASE戦略とは「C=Connected(つながる)」「A=Autonomous(自動運転)」「S=Shared & Services(シェアリング)」「E=Electric(電気)」であり、自動車産業が企業の枠組みを超えて協力し、新たなモビリティ社会を創造するための概念です。

ヤマハ発動機のマリン版CASE戦略の内容は、以下になります。

  • C=Connected(つながる安心)
    さらなる「安心のマリンライフ」実現に向けたつながる推進として、スマートフォンからボートを遠隔監視するシステムの開発販売や、船外機の点検リマインダー機能などを実装したスマートフォン用アプリ「My YAMAHA」の、水上オートバイなど他商材への展開を計画
  • A=Autonomous(安心・快適)
    システムサプライヤー戦略の進化による最高レベルの「安心・快適」を提供する。その取り組みとして、同社の独自操船システム「Helm master EX」のオートパイロット機能をさらに進化させ、自動着岸機能についても開発を進めており、2023年2月のマイアミボートショーでデモ走行を披露するレベルまで進んでいる
  • S=Shared(経験)
    会員制マリンクラブシースタイルなどで、多様なライフスタイルに合わせたマリン感動体験を提供する。海外ではフィンランドのIT系シェアリングベンチャー「Skipperi」へ出資し、マリン体験のデジタルプラットフォームの提供と、海外でのシェアリングビジネへの参入を加速させていく
  • E=Electric(快適)
    環境への調和を加速し、より良い社会を実現するために、電動ならではの静粛性と低速での強い推進力を実現する、電動推進ユニットとステアリングシステムを統合した「HARMO」の開発と本格導入に向けた検討を進める


ヤマハ発動機
https://www.yamaha-motor.co.jp/

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