2019年12月5日(木)【レース初日】
ワールドカップは耐久レースからスタート!!
朝7時にGPマシンをインスペまで走って持って行き、無事に合格。その後にもう一度テストをしたのですが、トップスピードあたりでマシンが左に傾き、どこへ行くかまったくわからないような状態になってしまいます。しかも危ないと思ってスロットルを戻すと、その場で左に180度ターンするような、制御不能の状況です。さすがにこれではレースで使えません。どうしたものか……。
GPマシンのことは気になりますが、この日の夕方に自分の最初のレース、35分+1周の耐久レースがありました。39台と、大会最多のエントリー数です。
スタートはル・マン式で、ライダーは走ってマシンに飛び乗り、エンジンを掛けて走りだします。スターティンググリッドで自分は一番インに陣取っていましたが、マイク・クリッペンスタインがやってきて、さらにイン側に食い込もうとしてきます。昨年もたしか、彼とインの取り合いをした覚えがあります(笑)。軽い攻防があり、今年は自分が一番インで、2番目にクリッペンスタインで収まりました。
スタートの合図とともにマシンに飛び乗りましたが、なかなかエンジンが掛からず、いきなり出遅れです。でも一番インからのスタートなので、他のマシンのひき波にのまれないぐらいイン側に逃げ、全開でキレイな水面を走って追いかけます。
1ブイまではかなり遠く、途中から急に波が高くなってきたので、周りのライダーはペースダウン。一気に追い抜き、3位で1ブイを通過できました。
そしてホームストレートに戻る途中、1位と2位はコースを見失っているのか、かなり右方面に行きましたが、自分は釣られずに正しいコースを維持。途中で間違いに気づいた2台がこちらに戻ってきましたが、これで1台を抜いて2位でホームストレートを通過しました。
トップを走るのは、世界の耐久レースを総なめにしているフランスのジャン・ブルーノ・パストレロ。彼の乗るULTRA 310は波のなかでもメッチャ安定しており、とても速い。自分のFXはこのペースだと最後まで燃料がもたないので、どこかでペースを落とす必要があります。
でもこれは、1位のパストレロも同じはず。トップに立ったらペースを落とすはずなので、それにピタリと付いていき、最後に抜くのがもっとも確実な作戦です。
しかし思ったよりパストレロのペースは速く、自分のすぐ後ろにはクリッペンスタインがいるので、これ以上ペースを落とせません。
するとコーナー入り口でスロットルを戻した瞬間にエンジンが止まってしまい、その隙にクリッペンに抜かれて3位に。
すぐにエンジンは掛かりましたが、前に追いつくためにはかなりペースを上げる必要があります。そうすると、もしかしたら燃料がもたないかも……。
でもこのまま3位では意味がないので、イチかバチかでペースを上げた瞬間、エンジンからガラガラと異音が聞こえ、シートも熱くなり、さらにもの凄い煙が!! すぐにエンジン全損だとわかるほどのトラブルで、残念ながらその場でリタイアとなりました。
インスペを受けてから自分のテントでエンジンを降ろすと、クランクケースには大きな穴が開いていました。スペアエンジンに乗せ換えて、この日は終了です。
2019年12月6日(金)【レース2日目】
レース中にまさかの漂流も、ケガの功名で問題解決!?
午前中は引き続き問題を抱えたGPマシンをテストしましたが、色々試しても、やっぱり左への傾きが修正しきれません。
このままでは勝負にならないどころか危険なので、今回はカーボン艇の使用を諦めることにしました。耐久レース艇でプロ・ランナバウトGPも走るのはマシンにかなりの負担となりますが、こればかりは仕方がありません。
午後は、耐久レースのMOTO 2です。スタートはMOTO 1の着順で並ぶので、なんと30位でインから30番目(笑)。スタートと同時に飛びだして順調に抜いて行ったのですが、1ブイ手前で突然、3気筒になった? というような症状がでて、その後もずっと吹けません。
最終的にはエンジンが止まってしまい、何度試しても掛からなくなってしまいました。でも昨日のような異音は無かったので、明日のGPには影響がないだろうと思いながらレスキューを待ちましたが、コースが広いのでマーシャルが気づいてくれず、20分ぐらい漂流。もしこのままマシンが沈んだら、自分は見つけてもらえるんだろうか? と心細くなるぐらいでした。なんとかレース終了間際に発見され、無事に生還できましたが(笑)。
ただしこの長い漂流の時間も、ムダではありませんでした。レスキューを待つあいだ、エンジンルームを覗きながら「GPマシンも耐久マシンも同じレイアウトなのに、なんでGPマシンだけまっすぐ走らないんだろう」と考えていたのですが、そのときに頭をよぎったのがスポンソン。もしかして、左右の位置がずれてる?
さっそくチームテントに戻ってからGPマシンを確認してみると、左右の高さが2mmほどズレていました。
すぐに修正してもらい、真っ暗な夜の海でテスト走行することになったのですが、さすがにこの暗さでは、全開にできるのも一瞬。前が見えない恐怖と、また急に制御不能になったら、という先入観もあって、5秒も全開にはできません。そんな状況ではなにも確かめられないので、翌朝もう一度テストしてから、どちらのマシンでGPクラスを走るか決めることになりました。