生駒 淳の海外レース参戦記#10│JET SKI WORLD CUP 2019

2019年12月7日(土)【レース3日目】
本番艇が直前で復活。本気のレースがスタート!!

朝6時にビーチでテストした結果はバッチリ。やはりスポンソンの取り付け位置が原因だったようで、ちゃんとまっすぐ走ります(笑)。

ギリギリでGPマシンが間に合ったので、これで心置きなくレースに集中できます。7時15分からプロ・ランナバウトGPのプラクティスランがあり、8時から2組にわかれて予選がスタートです。

予選は1組12名で走り、上位7名が通過。5名が予選落ちです。2組で10名が予選落ちですが、その10名での敗者復活もあり、そこから2名が決勝に進出できます。つまり決勝は、予選を通過した14名に敗者復活の2名を加え、16名でのレースになります。

プラランは全開では走らず抑えめにして、マシンの特性を掴むことに集中します。なにせずっとトラブルを抱えており、このマシンでコースを走るのはこれがはじめて。どんな動きをするかも、わかっていません。でも、そこはプロですから、まっすぐ走ってくれればなんとかなります(笑)。軽く走ってみるとそこそこイケそうな感触だったので、このマシンで予選に挑むことにしました。

プラランで出場艇を見て思ったのですが、24台のなかで、ヤマハは自分だけ。GPクラスはシードゥばかりです。この状況が変わる日は来るのかな?

自分は予選1組目の出走です。予選を通過することはもちろんですが、大切なのは、マシンを壊さずにゴールすること。リタイアだけは、絶対に避けないと。

スターティンググリッド決めで引いたピンポン玉は3番。インコースの2番目です。ちなみにインコースの一番インには砂盃さんが入りました。やっぱり持ってますね(笑)。

そしていよいよ、8周の予選がスタート。エンジンを掛けてアンチラグのボタンを押してスロットルを全開にするのですが、なぜかアンチラグのボタンを押すとエンジンが止まります。何度やっても、ボタンを押した瞬間にエンジンが止まってしまう。

手をあげてスタートを待ってもらいますが、その後も何度やってもダメ。時間切れでスタートとなってしまいました。

自分も急いでエンジンを掛け、最後尾からスタートです。焦らず、7位以内でゴールすることだけを考えて走ります。焦って全開にして壊したくないので、ストレートも8割ぐらいにセーブ。なるべく船体が跳ねないように、丁寧に走ります。

8周もあれば速いマシンは壊れる可能性もあるので、とにかく焦らず、地道に抜いていくだけです。案の定、周回を重ねるごとに、あちこちでレスキューされるマシンを見かけるようになりました。

リタイアした数を考えると6位か7位くらいにはいるはずだし、前も後ろも接近していないので、そのままペースを上げることなくゴール。結果は7位で、なんとか予選通過です。

プロ・ランナバウトGPのMOTO 1は午後の最後なので、8時間ほど間があります。この時間にスタートの問題を修正したかったのですが、メカニックのみんなは、自分がタイのシリーズ戦で使っていたマシンにタイ人が乗っているので、そっちに掛かりっきり。というか、自分はマシンを貸した覚えはないんですけどね(笑)。

夕方になってようやくメカニックが戻ってきたので、スタートが全然出ないことを伝えると、色々調整をしてくれました。

そして、待ちに待ったMOTO 1がスタート。またしてもスターティンググリッドはピンポン玉で決めます。予選の順位は関係ないんですね……。自分が引いたのは、インコースの大外。スタートで前に出られないなら、なるべく外側の方が安全なので、この場所でも問題はありません。

エンジンを掛けてアンチラグのボタンを押すと、今度は止まりません。ゆっくりスロットルを握ってくれと言われたので、そのようにしたら大丈夫でした。しかしスタートの合図と同時にアンチラグボタンを外しても、まったくスタートしません。ひと呼吸置いてから、ようやく動きだしました。またしても大きく出遅れです。

でも今回は10周もあるので、まだまだ挽回のチャンスはあります。予選と同じく周りがどんどんリタイアしていくので、それだけで順位があがっていきます。結果、MOTO 1は6位でゴールとなりました。

2019年12月8日(日)【レース最終日】
本調子からほど遠いMOTO 2。MOTO 3でようやくフルパワーに

泣いても笑っても今日が最終日です。午前中は少し空き時間があったので、今後も日本人が少しでも優遇してもらえるように、TJSBAの会長にご挨拶。TEAM JAPANのTシャツも渡してきました。

MOTO 2はMOTO 1の着順でスターティンググリッドの場所を選べたので、アウトのアウトを選択。スタートに不安があるときは、大外が無難です。今日はスポンソンの位置を変更して、少しノーズが潜りづらくしました。

スタートは相変わらずまったく出られません。というより、昨日よりも悪くなっているような……。さらにトップスピードは120km/hも出ていない? という感じ。これならストックで出た方が良かったぐらいです。結果は7位でゴールとなりましたが、あまりにも遅すぎますって(笑)。

なんとかするべくチームテントに戻ったのですが、メカニックは全員タイ人に貸した(貸したっけ?)マシンの方に行っているようで、誰もいません。困ったものです。夕方にようやく戻ってきたので自分のマシンを調べたところ、ブーストコントローラーの配線が抜けており、ブーストがかかっていなかったみたい。だからスタートも出られないし、レース中も遅かったんですね。

最後のMOTO 3はブーストも上げて、フルブーストで行くことになりました。

そして勝負のMOTO 3。今回はスタートもバッチリ出られて、アウトコースの2位で合流は5位。なんだ、ブーストがかかっていれば普通に速いじゃん!! と思いながら走っていたのですが、トップ勢はマシンを壊さないように、守りの走りをしている雰囲気。

あと4周というところで、うしろから速いマシンが近づいてきました。2周はブロックできましたが3周目で抜かれてしまい、6位でゴールとなりました。

ちなみに自分を抜いたのは、チャンピオンになったマルケス・ヨルゲンセン。自分を抜いて5位にならなければ、僅差でジャン・バプティスタ・ボッティが優勝というような状況だったようです。どおりで、鬼気迫る走りだったわけだ。

ゴールしたあとにオフィシャルから「総合5位だから表彰台にくるように」と言われたので準備をして待機します。そのあいだにフリースタイルがはじまったので、ひさしぶりに目の前で最初から最後まで楽しみました。山本汰司くんの演技はパーフェクトで、見事に優勝。おめでとうございます!!

その後、表彰台に日本の国旗が無いので心配になり、リザルトを確認しに行くと、自分の順位は6位になっていました。最初から期待していなかったのに、5位だというから喜んできてみたら、結局なんやねん!! みたいな。

念のためオフィシャルに確認してみたら、MOTO 2のスタート直後に#111が勝手にマシンを変更してレースに出たので、それをプロテスト(抗議)すれば5位だったとか。ただすでに30分以上経ってしまったからダメだとも言われましたが。

まあプロテストしてまで5位に上がりたいとも思わないので、そのまま帰りました。5位表彰と6位では大違いですけどね。

結局、プロ・ランナバウトGPに出場した日本人ライダーの結果は、自分が6位、去年のチャンピオンの砂盃さんが7位、13位に船戸さん、22位に予選落ちでしたが海辺さんとなり、みんなが予想以上に苦戦したレースとなりました。

昨年から表彰式はレース会場で順次おこなわれるようになり、大会が終わる時間も早くなっています。その流れでコンテナのバン詰めも日曜の夜にやることになったので、レースが終わってもゆっくりする間もなく、すぐに片付けです。月曜の昼間、暑い最中でやるよりは、こっちの方が全然ラクなので。

今年はマリンメカニックチームがフォークリフトを貸してくれたので、さらにバン詰めがラクでした。とはいえ自分は40フィートのコンテナが2本と、20フィートのコンテナが1本の計3本あるので、大変な作業です。日曜日にできたのは日本から来た分だけで、ベルギー、アメリカ、タイと回ってきたワールドシリーズ(トリプルクラウン)のコンテナと、自分のタイツアー専用のコンテナは、月曜日の朝9時に来るということで、今夜は終了です。

次ページ:【帰国】2019年度の、すべての海外レースが終了

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