アウトドア需要の高まりにより、船舶免許の取得者が急増中!
著名人も数多く取得しているようで、四輪レーシング・ドライバーの佐々木雅弘さんもこの夏に水上バイク免許を取得。
四輪のプロフェッショナルであり、無類のノリモノ好きでもある佐々木さんに、水上バイクの免許を取得した理由や水上バイクに対するイメージを伺いました。
佐々木雅弘 Masahiro Sasaki
メカニックからレーシング・ドライバーに転身し、2014年にスーパー耐久でシリーズチャンピオンを獲得。2016年には86/BRZ Raceでシリーズチャンピオンに輝き、2020 年にはニュルブルクリンク24 時間レースに参戦するなど、その活躍は多岐にわたる。1975 年7月16 日生まれ。岩手県出身。
乗りこなす難しさが魅力、体幹トレーニングにも
なぜ水上バイクの免許を取ろうと思ったのでしょうか?
知人に誘ってもらったのと、なによりノリモノ全般が好きっていうのもあって。水上バイクには海外で乗ったことがあったんですけど、面白いノリモノだなって思ってました。
プロのレーシング・ドライバーから見た水上バイクの印象を教えてください。
四輪はご存じのとおり普通に走ってれば普通に安定していて、快適なノリモノですよね。それをサーキットで走らせると、クルマが豹変してスポーティだったりレーシーに走れる。でも水上バイクとかモトクロスみたいな股で挟んで走らせるノリモノは、すごく不安定じゃないですか。
風や波の影響も受けますからね。
体を使ってバランスを取ったりスピードを調整したり、四輪で普通に走るよりも難しいじゃないですか。(風とか波とか)いろいろな条件があるので。その難しさは魅力ですよね。
水面状況によっては思ったよりも体を使うので、トレーニングにもなりそうですか?
体幹が鍛えられそうですね。乗ってるだけでも体がキツくなってくるじゃないですか。そういう意味では四輪に乗るよりもトレーニングになりますし、やっぱり面白いノリモノだから楽しくトレーニングできそうですよね。
海やマリンスポーツには昔から憧れがあった
昔から「海」が好きだったのでしょうか?
好きでしたね。やっぱり「海の男」ってカッコいいじゃないですか。僕がレーサーになったのも、当時のレーサーのひとたちを見て憧れから入ったのがきっかけだったので。
カッコいいからやってみたい、というのはシンプルだけど力強い原動力ですよね。
野球選手がカッコいい、サッカー選手がカッコいいって思うひとがいるように、僕はレーサーがカッコいいと思ったんですよね。それと同じ感じで、海とかマリンスポーツもカッコいいじゃないですか。サーフィンもそうですし、憧れるな、やりたいなっていう印象がすごく強くて。だから海は昔から好きでした。
実際にやってみたマリンスポーツは?
最近だとSUP(スタンドアップ・パドルボード)ですかね。僕の今いるチームのオーナーが葉山でSUPをやっていて、そこで遊ばせてもらったりハワイでもやりました。ツーリングじゃなくて波乗り(SUPサーフィン)の方ですね。
アクティブな方がお好きなんですね。
誘われるのもそっち系が多いですし、(自分の好みも)そういう感じなんでしょうね(笑)。あとは海関係でいうと、お盆前ぐらいがレース業界はオフなんですよ。その期間にチームオーナーがレーサーとかレースクイーンを連れて、クルーザーで海にでるみたいなことはよくありましたね。
陸海制覇で残すは空のみ!?
ノリモノ好きで海も好きなら、水上バイクに辿り着くのも必然といえそうですね。
ホントに、純粋に楽しいノリモノだと思います。スノーモービルもそうですし、バイクもそうですし、モトクロスもそうですけど、あの加速感とコーナリングはやみつきになりますよね。
水上は体感速度が数倍になると言われていますからね。
それに水上バイクはしっかり「G」を感じるじゃないですか。バイクは(車体を)倒して曲がるから、意外に旋回Gを感じないんですよ。スライドをコントロールする面白さはあるんですけど、水上バイクの場合は(船体が)水を食ったらその分だけ曲がれるというか。
水の抵抗を使って曲がったり止まったりしていますね。
四輪だったらダウンフォースっていう空気の力で押さえつけて曲がっていくじゃないですか。タイヤだけじゃなくて空気の力で曲がっていく。そこが水上バイクは水の力を借りていて、そのGのかかり方とか、そこをバランスさせて走る感じとかも奥が深くて魅力的だなと思います。
少し話は戻りますが、スノーモービルなども乗られるんですね。
そうですね、ノリモノはなんても乗りますよ。ホントにノリモノが大好きなので、ロケット以外はほとんど乗ったんじゃないかな(笑)。
1日で免許が取れることをもっと知ってもらいたい
水上バイク免許が1日で取得できることはご存じでしたか?
知りませんでした。これは意外と知らないひとも多いんじゃないかな。船舶免許ってお金と時間がかかるイメージだったので、まさか1日で取れるなんて思いもしませんでした。
1日なら忙しいひとでも取得できますよね。
それはホントに魅力的です。実は僕もスケジュールがパンパンで、休みっていう休みがないんですよ。このあと(免許試験のあと)も夕方から打ち合わせがあって、それが終わって盛岡に帰るか、長引けば明日の朝帰るか。
岩手県にお住まいなんですね。
そうなんですけど、家に帰るのは月に1日か2日しかないんですよね。そんな生活だから、免許を取るのも1日のプランじゃなかったら難しかったかもしれません。だから忙しいひととか、面倒に思って敬遠してるひとにはぜひ1日で取れるって知ってもらいたいですね。
耳馴染みのない言葉とロープワークに苦戦
実際に講習と試験を受けてみて、いかがでしたか?
前日までなかなか時間が取れなくて、なんとか2時間ぐらいは勉強して、今日(試験当日)の朝は1時間早く来て問題集をやりました。耳馴染みのない単語が多かったので、とにかく「この単語が出てきたら答えはコレ」という感じで丸暗記するのが精一杯でした。
四輪や二輪とはまったくの別世界ですからね。
あとは試験前の講師の方からのアドバイスを「これは絶対に聞き逃せない」と思って真剣に聞きました(笑)。※佐々木さんは学科独習プランを受講
他に苦戦したところはありましたか?
実は僕、両利きなんですよ、めんどくさいことに。ボールを投げるのは右だけど、バドミントンは左。ハサミは左でハンマーも左だけど、鉛筆は右みたいな。
わけがわからなくなりそうですね。
そうなんですよ。それでロープのときは左みたいで、教えてもらうのと逆に手が動いちゃって。ただポイントだって教えてもらったところを覚えて、あとはロープを触って繰り返し実践すれば覚えられました。
点検は問題ありませんでしたか?
エンジンとかその辺は得意分野なので、ぜんぜん大丈夫でしたね。「ハル」とかの固有名詞さえ覚えておけば問題ありませんでした。
免許取得後はやっぱりレース?
今後は水上バイクで何をしたいですか?
いろんな遊び方があると思いますけど、もちろんツーリングっていうのもいいですし、あとはクルマでいうジムカーナーみたいな、ジグザグに走って競争してみたり。どういう風にすればスピードと船体をコントロールできるかっていうのも突き詰めてみたいですね。
やはり思考がレーシング・ドライバーですね。
根っからのレーサーというか競争好きなので、やっぱりレースには興味ありますよね。もちろんすぐに勝てるとか、速く走れるとかはムリだと思うんですけど、本業があるのでケガしない程度にやってみたいな(笑)、とは思いますね。
MG MARINEではタイムを競う「M-1」というレースも開催されていますよ。
そうなんですか、それも面白そうですね。なんかレースって聞くと、自然とアツくなってしまうので(笑)。