K38 JAPANコラム「HOT WATER SAFETY」vol.121|過去の事故から学ぶこと


K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。

北海道 知床沖の観光船が沈没した事故で多くの方々が死亡・行方不明になったニュースは、日本中に大きな衝撃が走りました。私たち小型船舶に携わるものとしても、胸が痛む事故です。

船で海に出る際には船長自身がしっかりと準備を整え、安全な運航を徹底することがいかに重要か、改めて実感させられる事故でもありました。

これは水上バイクに乗るみなさんにとっても、人ごとではありません。

水上バイクも小型船舶であり、操縦するみなさんは立派な船長です。つまり「船長の遵守事項」をしっかり遵守する必要があるわけですが、今回はそのなかから、発航前検査についてお話ししましょう。

これを読んでいるみなさんは、水上バイクへ乗船する前にかならず発航前の検査・点検を実施していると思いますが、海上保安庁の事故統計によると、機関故障で航行不能となった船舶が毎年1800隻から1900隻以上もあるそうです。

おもな原因は電気系統や冷却水のトラブル、燃料切れなどで、どれも事前に点検していれば防げる内容ばかり。

令和2年の海上保安庁の事故統計では、総数の80%が発航前点検を未実施であるとわかっています。

繰り返しになりますが、水上バイクも小型船舶です。発航前の点検は船長の義務であることを肝に銘じましょう。

◇ ◇ ◇

さて、点検時のポイントですが、エンジンは陸上での点検にくわえ、水面に浮かべてからも異常がないか確認しましょう。検水口から水が出ているかしっかり見ておくことも重要です。

また船体や機関だけではなく、周辺アイテムも併せて点検しましょう。

適切なライフジャケットを正しく着用できているか、スマートフォンなどの通信手段のバッテリー量は十分かなど、忘れずに確認してください。

気象や海象情報、水路情報などもかならずチェックしましょう。特に気象・海象は知床の事故でもわかるように、船長の判断ミスが大きな事故に繋がってしまう可能性も少なくありませんからね。

この他にも発航前に実施すべき点検項目はいくつかあるので、詳しくは海上保安庁のウェブサイト「ウォーターセーフティガイド」を見てみてください。K38 JAPANの講習会でも一般向け・プロ向けを問わず発航前検査や点検方法の講義をおこなっています。

なかには面倒に感じるひともいるかもしれませんが、その少しの時間で事故を未然に防げるかもしれません。

水上バイクに乗る前にそのことを思い出して、発航前点検を欠かさず楽しいマリンライフを過ごしてください。

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