K38 JAPANコラム「HOT WATER SAFETY」vol.127|はたらく水上バイク


K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。


水上バイクはレジャー目的のノリモノとして開発されましたが、数十年の時を経てその遊び方や使い方は少しずつ多様化。かつてはツーリングとレースが定番でしたが、今では「ウェイクボード仕様」や「フィッシング仕様」などの特定の遊び方に特化したモデルも人気を集めています。

さらにはレジャーだけにとどまらず、公的利用にフォーカスしたレスキュー仕様の水上バイクが開発されたこともありました。

日本国内でも海上保安庁や消防、警察といった公的機関が水上バイクを導入しており、さらには水辺のライフセービング活動をおこなう民間団体にもパトロール艇として配備されています。

どの機関・団体でも水難事故を未然に防ぐことが期待されているわけですが、なぜ彼らは水上バイクを選ぶのでしょうか。

各機関により狙いや思惑は異なり、その理由をひと言でまとめるのは難しいかもしれませんが、機動力が高く浅瀬でも航行が可能で、水面が近いことから水へのエントリーも容易という水上バイクならではの特徴が評価されているのは間違いありません。

特に沖縄県は珊瑚に囲まれている場合が多く、干潮時は大きな船では入れない場所もあるため、現地の消防などでは浅瀬でも航行できる水上バイクが有効活用されています。

◇ ◇ ◇

このように様々な公的機関で水上バイクは活用されているわけですが、その場合、操縦者に対してある一定の訓練やプロフェッショナル向けの教育が必要ではないでしょうか。

公的機関での水上バイクの利用は警察官が白バイを運転することと同じであり、交通機動隊の隊員は白バイを操るために努力と訓練を重ねているはずです。

しかし水上バイクの場合、現時点でそのような教育は義務化されていません。特殊小型船舶免許さえあれば、公的な活動であっても水上バイクを操縦できます。

もちろん各機関が訓練をおこなっていないわけではなく、独自訓練や民間のマリーナ・団体との合同訓練をおこない、研鑽に励んでいるところもあります。

また我々K38 JAPANでも国際的な安全運航教育組織として、公的利用者に必要な操縦知識や運航方法を教育しています。

近年は気候変動の影響もあり、日本各地で豪雨による災害が増えており、水上バイクの活動機会もそれに比例して増えています。

レスキューの現場でも水上バイクが活躍できるのは過去の災害時に証明済みですが、正しい知識と確実な技術が無ければその実力は発揮されませんし、被災者は助けられません。

それだけではなく、一歩間違えれば操縦者の身に危険がおよぶ可能性もあります。

各地の現場で水上バイクが正しく、効果的に活用されることを私たちは願っています。

K38ジャパン

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