何をすべきか「知っている」だけで救える命がある|知識がなくてもできる、救命救急の心得

あなたの行動が命を救う

水上バイクは爽快で楽しいノリモノですが、ケガや溺水といった危険と隣り合わせでもあります。

もちろん他のレジャーや日常生活でも同様のリスクは存在するため、細心の注意を払う必要がありますが、それでもケガを負ったり最悪のケースに至る可能性もゼロではありません。

自分は大丈夫だと思っていても、家族や友人、仲間、もしくは偶然近くにいた見知らぬひとが、突然意識を失って倒れてしまうかも。

そんなとき、あなたに何ができるでしょう?

医療従事者でもなければ、特別なことはできないはず。でも、何をすべきか「知っている」だけで結果的に命を助けられたり、二次的な被害を防げるかもしれません。

(公財)マリンスポーツ財団が実施した救命指導員の講習にお邪魔しました。

ひとが倒れている! まずはどうする?

血液や体液に触れる可能性がある場合は、浸透性のない手袋を着用しましょう。コンビニの袋などでも代用可能です。

倒れている傷病者を見つけたら、慌てて駆け寄る前に自分の「予防」ができているか確認しましょう。

新型コロナウィルスをはじめとした感染症のリスクもあるため、おう吐や出血している場合は血液などに直接触れないように注意が必要です。

水上バイクの事故の場合は、その場所が安全な水域か、周囲の船舶と接触の危険性がないかも確認して、二次被害を防ぎましょう。

そして何かしらの処置をする前に、傷病者の状況を把握することも大切です。

意識はあるか、呼吸はあるか、ケガをしているか、出血はあるかを確認しておくことで適切な処置ができるのはもちろん、119番通報した際に正確な情報が伝えられるため、その後の迅速な処置にも繋がります。

救急車が到着するまでの約9分が重要

119番通報してから救急車が到着するまで、全国平均でおよそ9分かかると言われています。

一方で心臓が停止すると15秒で意識を失い、その後4分間、脳に血液が送られないと脳の回復の見込みが大きく落ち込みます。

つまりあなたに一次救命(胸骨圧迫や止血)の知識がなかったとしても、救急車の到着をただ待っていては救える命も救えなくなるというわけです。

もし救命処置ができないなら、周囲のひとに助けを求めて代わってもらい、自分はAEDを取りに行くなど別のことで動きましょう。

胸骨圧迫はなるべく早いタイミングから絶え間なくおこなうことが大切なので、倒れたひとの意識がなければすぐに行動を起こしましょう。

やるべきことは以下のとおりです。

  1. 救助者が感染症や二次的な被害に遭わないよう予防する
  2. 傷病者の状況と意識の有無を確認し、119番通報とAEDの手配
  3. 一次救命処置(胸骨圧迫やAED)をおこなう
  4. 救急隊に傷病者の情報とおこなった処置を報告して引き継ぎ
胸骨圧迫は意外と体力が必要な作業です。応援を呼んで交代でおこないましょう。

ちなみにAEDの使い方がわからないひともいると思いますが、AED本体が音声でやるべきことをナビゲートしてくれるので、指示どおりに動けば知識がなくても使えるようになっています。

AEDでの処置が1分遅れるごとに生存率は7~10%落ちるとも言われているので、胸骨圧迫と同様に迅速な対応が必要になります。

また胸骨圧迫や止血、AEDの使い方などは、自治体などが実施する「救命講習」でその方法を学べるので、興味のあるひとは受講してみてください。いざという時に役に立つはずです。

AEDが必要ない場合も音声でアナウンスしてくれるので、指示どおりの手順で進めていけば誰でも問題なく使えるはずです。
最近は様々な場所にAEDが設置されているので、自分の行動範囲のどこにあるか把握しておくことも万が一の備えになります。

マリンスポーツ財団

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