K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。
暖かい日が増えてきて、そろそろみなさんもツーリングのイメージを膨らませていることでしょう。
本格的にマリンシーズンの到来を感じるこの季節になると、東京湾や隣接する河川ではツーリングのグループを数多く見かけるようになります。
そのなかには、TPSP(東京港・湾・河川 水上オートバイ安全航行推進プロジェクト)の受講者の証であるビブスを着用しているひとも。
TPSPの活動もスタートから6年が経過し、少しずつですが確実に浸透しているようです。
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ところでみなさん、ツーリングのプランはどのように立てていますか?
今はパソコンやスマホで地図を見ながら、「ここを走ってここに以降」と計画するひとも多いでしょう。
しかし出航計画の基本は、いつの時代も海図です。
海図には航行するうえで有益な情報が、たくさん詰まっていますからね。
そのひとつに、港の範囲を示す「港界線(ハーバーリミット)」があります。
海図上には赤い線で記されていて(線の内側が港の海域)、東京湾では多くのユーザーが航行している羽田空港の周辺や、芝浦、豊洲、有明の運河をはじめ、そのほとんどが港の海域となっていることが海図を見ればわかるでしょう。
そしてこの海域では、港内における船舶交通の安全と整とんを目的とした「港則法」が適用されます。
港則法では水上バイクやモーターボートは「汽艇(総トン数20トン未満の動力船)」に区分され、汽艇“以外”の進路を避けることが義務づけられています。運動性能が高く小回りが効く小型の船舶が、大型船に進路を譲ってください、ということですね。
また多くの港には「航路」が設定されています。航路は汽艇以外の船舶が航行を義務づけられている水上の通路ですが、水上バイクを含む汽艇が航行する場合にも「並列航行の禁止」「追い越しの禁止」などが定められています。
そもそも水上バイクは航路を航行する義務がないので、なるべく近づかない方が得策といえるでしょう。
その他にも「他の船舶に危険を及ぼさない速力での航行」や「出船優先」、「右小回り左大回り」なども港則法で定められた港内ルールの一例です。
ツーリングの出航計画を立てる際は“どこに行くか”だけではなく、どこに港界線があり、どこから港則法が適用され、どこに航路があるかといったことも意識する必要があります。
そして港内では業務船も多数航行していますから、相手を優先して謙虚な気持ちで走るように心がけることが、無用なトラブルを避けることに繋がります。
他の水域利用者と末永く共存するためにも、思いやりの心をお忘れなく。