【コラム】K38 JAPAN「HOT WATER SAFETY」vol.167|ハワイの豪雨災害から学ぶ「知ること」の大切さ


K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。


米国ハワイで発生した豪雨災害の映像を見たひとも多いのではないでしょうか。

平時の2~3か月分に相当する雨量がわずか1日のあいだに集中し、河川が氾濫。

過去20年で最悪といわれる洪水を引き起こしました。

幸いにも死者は出ていないようですが、数千人の住人が避難し、200人を超える救助者も出ています。普段は穏やかな水域が短時間のうちに激流へと変わり、ひとやクルマをのみ込んでいく――。

あの光景は、「水は一定ではない」という現実を私たちに強く突きつけていると感じました。

◇ ◇ ◇

水上バイクに乗る私たちにとって、ハワイで起こった災害は遠い国の無関係な話ではありません。

海、川、湖、それぞれの水域には固有のリスクがあり、天候や地形、季節によって状況は大きく変化します。

たとえば海では風やうねり、潮流によってコンディションが一変しますし、湖は一見すると穏やかでも、急な突風で水面状況が悪化したり低水温による危険もあります。

そしてもっとも変化が激しい水域といえるのが河川です。

上流の雨による急激な増水やそれにともなう流木、濁流、見えない障害物など、平時とはまったく異なる表情を見せることがあります。

これらを知っていることは、安全な判断を下すうえで重要です。

事故の多くは「これぐらいなら大丈夫」という油断から発生します。

あなたが出航にGOサインを出した状況が、実は危険な水準にあるかもしれません。

雨量や風向、流れ、水温、周囲の地形などできる限りの情報を集め、それを正しく読み取り、必要であれば出航を取り止めたり引き返す判断も船長の重要な役割です。

◇ ◇ ◇

ご存じのとおり、日本でも豪雨災害が増加傾向にあります。

そのことを踏まえK38 JAPAN では『RWC Disaster Training』を実施し、実災害に対応できる判断力と行動力の強化に取り組んでいます。

平時の操縦技術だけでなく、急変する水域環境のなかでも状況を正しく把握し、安全に行動する力がこれからの時代ではますます重要になります。

水上バイクは自由で魅力ある乗り物ですが、その自由を実現するにはライダーの知識や技量が必要であり、そこには「自然を理解する力」も含まれます。水域を甘く見ないこと、変化を前提に準備すること。

これが安全への第一歩となります。

桜の季節も過ぎ去り、いよいよ本格的なマリンシーズンが近づいてきました。

水上バイクで出航するその前に、まずはその水域がどんな顔を持っているのか知ることから始めていきましょう。


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