K38 JAPANコラム「HOT WATER SAFETY」vol.107|災害時の水上バイクレスキュー


K38 JAPAN
2008年4月に発足。米国に本部を置くK38の日本支部として、各地で水上バイクによる安全運航および救助・操船技術講習会や、マリンスポーツイベントにおける安全管理などを通じて、水上安全の普及・啓発活動を行っている。


2021年3月11日で、東日本大震災から10年が経過しました。まずは震災でお亡くなりになった方々に追悼の意を表するとともに、今なお困難を背負い、それを乗り越えようと努力を続ける方々が、一刻も早く元の生活に戻れることを心よりお祈り申し上げます。

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2011年からの10年間を振り返ってみると、2014年7月の「広島土砂災害」や、広島・岡山・愛媛などに甚大な被害をもたらした2018年7月の「西日本豪雨」、さらに同年9月には非常に強い勢力で日本に上陸した「台風21号」が猛威を振るうなど、大きな被害をおよぼす水災害が毎年のように起きていました。

これらの災害では氾濫や浸水、冠水などの要因から救助活動が困難であり、また被災地域や被災者が孤立するといった特有の被害が発生しています。

そしていくつかの災害現場では、浸水や冠水の際に一般の方が水上バイクでレスキューをおこない、それが報道で取り上げられたりもしました。

水上バイクはレジャー目的のノリモノですが、ジェット推進により高い機動力と操作性を発揮し、プロペラや舵などの突起物が船底に無いことから、水深が浅い場所でも航行が可能。さらにライダーと水面が近いという特性から、浸水や冠水時の救助でも活躍できる機材といえます。

しかし災害現場においては、正しい知識と技術で水上バイクを使用しなければ大きな事故に繋がる、という可能性も覚えておかなければなりません。

プロの料理人は包丁を用いて食材を調理し、美味しい料理を提供します。しかし使い方を誤れば、包丁はひとを傷つける道具にもなり得ます。そのため料理人は鍛錬により技術と知識を習得し、さらに包丁を扱う際の心得も継続して養っています。

災害現場で水上バイクを使用することは、それと同じであると考えてください。

救助に向かうその心意気はとても素晴らしく、称えられるべきことです。しかし一歩間違えれば、自分も危険な状況に陥る可能性があり、状況を悪化させることも。その特性を理解し、正しく使用するための知識や技術、そして心構えを養うことが求められます。

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災害現場では予期せぬ事態が起こり、状況は刻一刻と変化するため、その危険性とリスクを正しく認識・評価して対処することが重要になります。

繰り返しになりますが、災害現場で水上バイクを安全に活用するにはその特性を正しく理解し、確実な操船技術を身につけ、扱う際の心構えを継続して養うことが重要です。

そしてレジャーにおいても、“もしも”に備えた心構えは必要です。シーズン前に法定備品やバッテリーのチェックをおこない、万全の体制でシーズンを迎えられるようにしましょう。

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