ディフェンディングチャンピオンとして臨む、タイでの2019年シリーズ戦が開幕
JET SKI PRO TOUR 2019 | ROUND 1 |
THAILAND KAMPHAENG PHET タイ王国 カムペーンペット |
2019年3月16日~17日 |
- TEXT:Jun Ikoma 生駒 淳
- PHOTO:Akemi Ikoma 生駒明美
2019年3月13日(水)【出国】
LCCのビジネスクラスは、そこそこです
今回は自分と愛妻アケ、それからチームマネージャーの秋元さんの3人で成田空港からエアアジアのビジネスクラスでタイまで約5時間の旅。ビジネスクラスといってもLCCなので、ANAのエコノミークラスと大体同じぐらいの金額で乗れます。だからサービスもそこそこで、シートが140度ぐらいまで倒れてベッドになるのと、優先搭乗があるぐらい。それでも、エコノミーで行くよりはこっちの方がラクかな~と思って、今回はエアアジアにしました。出発はLCCらしく約35分遅れで、結局夜9時ごろとなりました。
2019年3月14日(木)【会場到着】
永遠に見つからないマッサージ屋
バンコクのドムアン空港に着いたのは現地時間で夜中の2時。そこからタクシーでスワンナプーム空港に移動して、メカニックの山口さん、中村さん、西川さん、海辺さん、ヤマハの小野さんと合流してレース会場へ。ここからレース会場までは、約5時間の道のりです。
バンコクを抜けたら、あとは1号線を約300km、ほぼまっすぐ。途中、きれいなパーキングエリアみたいなところに2回寄り、軽食を食べながら景色が変わらない道をひたすらドライブしていると、突然自分の立て看板が道路沿いに出てきました。レース会場まではまだ10km近くありますが、すでにレースの宣伝をしています。
レースのスケジュールと開催場所が書いてあるこの看板には、PROカテゴリーのスポーツ、ランナバウト1100、スキー、ランナGPの昨年のチャンピオンが全員一緒に写っているタイプと、4人がひとりずつ写っているタイプがあり、それがレース会場まで順番に並んでいます。これはなかなかカッコイイ。去年がんばった甲斐がありました。
看板を横目にさらに車を走らせ、ミャンマーとの国境付近にあるレース会場近くのホテルに到着。さっそく準備といきたいところでしたが、マシンがまだバンコクから届いていなかったので何もすることが無く、とりあえずレース会場へ行くことに。
レース会場まではホテルから歩いても行ける距離で、会場に着くとすでにコースブイが打ってありました。ただし、全体像を見てもまったく走り方が分からないコースで、みんなで「あーじゃないか? こーじゃないか?」と言っていたら、スターターのジャスティン・リーさんが話しかけてくれて、「マーシャルにコースを走らせるから」と言って無線でマーシャルに連絡してくれました。
自分は急いでスマホを構えて動画で撮影。そこまで複雑ではないものの、すごくタイトで抜きどころがないコースでした。川幅が狭いので仕方ないのだと思いますが、リーさんいわく、今朝まではくるぶしぐらいしか水位がなく、上流のダムを開けてもらいようやく水深1.5mになったとか。だから水の流れが凄く速いのか。
どこが浅瀬かまったくわからなくて怖いですが、ひとまずコースの下見は完了。会場から見ると、スタートしてひとつ目のブイの先にレストランらしき建物が見えたので、みんなでそこに行ってみることに。
対岸までは近くの橋を渡って10分程度。大体この辺かな? というところにレストランがあったので行ってみると、階段で下に降りられて、ドラム缶で浮いている水上レストランがありました。ここは1ブイの真沖にあるので、レースがスタートしたら全員が向かってくるのを真正面から見られる最高の観戦スポットです。自分も気分だけ味わっておこうと、そこでお昼ご飯を食べました。
タイ料理を堪能してホテルに戻ってもまだマシンは届いていないので、今度はホテルの近くをお散歩です。昼間は気温が40度まで上がるタイはサウナのように暑く、お散歩にはまったく向かない環境だったのですぐさま断念。切り替えて次はマッサージ屋を探したのですが、まったく見つからないのでそのままホテルに戻りました。
そのころようやくマシンが到着したので、メカニックのみんなが早速作業を始め、しばらくしてヤマハの4トントラックも到着。同時に自分のコンテナで送ったウェットや着替えも到着したので、荷下ろしをして準備は完了。その後やっぱりマッサージに行きたいということになり、自分たちは車でマッサージ屋を探しに出発したのですが、スマホで調べても、ナビで調べても、まったく見つかりません。タイに来てこんなにマッサージ屋を探したのは初めてというぐらい探しましたが、結局見つからなかったので諦め、ホテルの隣のレストランで夜ご飯を食べてから床につきました。
2019年3月15日(金)【レース前日】
タイはツアー戦もインターナショナル
朝9時に食事を済ませて、テストランのためにレース会場近くの島に行き、マシンを下ろします。レース会場の付近はランナバウトを下ろせそうな場所がなかったので、スロープがあるこの島を拠点にしてレースがスタートする直前に会場まで走って行き、終わったらまたここに戻ってくる感じです。レース会場にいるのは走っている時だけになりそう。
さっそく自分はウェットスーツに着替えて、マシンのテストをスタート。まずはエンジンをかけて5分ほど暖気運転します。そのあいだに水漏れ、異音などをシートを開けてチェックし、その後、回転数を100回転ずつ上げていき、調子を見ます。
異常が無ければ短い距離で全開走行してから岸に戻り、MOTECのロガーデータを見て数字的に問題がないか確認します。そこでも問題がなければさらに距離を伸ばして全開走行していくのですが、今回はこの時点で回転数が高過ぎたため、インペラを変更してテスト。これを何度も繰り返します。そしてメカニックが作業をしているあいだに、自分はチームヤマハからストックマシンを借りてコースのプラクティスランに行きました。
基本的にレースマシンでプラランを走ることはなく、ノーマルのマシンでコースを覚えます。これはレースマシンをなるべく温存したいからで、レース本番とテスト以外でレースマシンに乗ることはまずありません。つまり本番用のレースマシンで練習することもほとんどありません。
そうこうしているうちに夕方になり、この日はテストとプラランで終了。夕方5時からはレース会場でライダーズミーティングです。
今回はインターナショナルレースなので、一応タイ語のあとに英語で説明があります。まあ、英語ができない自分はどちらにしても良くわからないんですけどね。そこではタイ人以外のレーサーが紹介されて日本、フィリピン、中国、カンボジア、マレーシア、韓国から今大会に参戦しており、タイのツアー戦もかなりインターナショナルになってきました。
ライダーズミーティングで大事な内容としては、スタートのレッドフラッグは2回までで、その後は1周減のペナルティになること。それだけはきちんと理解しました。ひととおりの説明が終わったらエントリーをして、手首にバンドを巻いて終了です。その後、先ほどの島に戻ると、メカニックのみんなは明日からのレースに備えて必死に作業を続けてくれていました。今は本当に恵まれた環境で、ありがたいことに走ることだけに集中させてもらっていて、自分がマシンをいじることはありません。自分が触ると壊すので(笑)。