生駒 淳の海外レース参戦記#01│ JET SKI PRO TOUR 2019 ROUND 1

2019年3月16日(土)【レース1日目】
勝利のマッサージ

スタートの瞬間

前日と同じく朝9時にホテルで食事をしてから、マシンがある島に向かいました。自分のレースは午前の最後と午後の最後なので、レース会場に行くのはいつも遅いんです。特に午後はテレビの生中継が入るので、時間がずれることはまずありません。午前は11時半、午後は16時半が自分のレースの目安です。

一度メカニックと打ち合わせをしたあと、自分はレース会場に車で行きスタートの確認をします。スタートはインとアウトどちらが速いのか。2周目以降はインとアウトどちらが速いのか。どこが抜きどころかをチェックしました。その結果、今回は明らかにインコースが速いのでインコース狙いで行くことにしましたが、最初のグリッド決めは箱に入ったピンポン玉を引いて、ピンポン玉に書いてある番号のグリッドに入るので、運を天に任せるしかありません。

そしてスタートのタイミングを見たあとは、スロープがある島に戻ってウェットスーツに着替え、プロテクターをしてレースの準備。島からレース会場はなんとなく見えて音も聞こえるので、どのレースをやっているのかは大体わかるのですが、今回はさらにアケとチームマネージャーの秋元さん、ホルダーの西川さん、海辺さんにレース会場に行ってもらい、自分の出番をチェックしてもらっていました。そしてスキーGPクラスがスタートして、いよいよ次が自分のレースとなりました。

マシンをスロープから下ろし、暖機運転をしながらレース会場に向かいます。ちなみにグリッド決めのピンポン玉は自分の代わりにアケが引くのが恒例になっているので、最初のグリッドはアケ次第(笑)。楽しみにしながらグリッドに向かうと、明美がいたのはアウトコースのインから3 番目。最悪に近い場所ですが、「そもそもピンポン玉を引く順番が最後だったので、選択の余地はなかった」と必死に訴えていました(笑)。

外側にはNulek、内側にG1(中国チャンピオン)のマシンに乗ったAttaponと、シードゥに挟まれてしまいました。今回スタートグリッドの足場がかなり悪かったので、アンチラグの回転数が高いとホールドできずにフライングになる可能性がありました。それを見越して回転数を下げていたため、スタートで速いシードゥに置いて行かれる可能性があるのですが、タイのレースは「スタートから1ブイまでは他人のラインをふさいではいけない」というルールがあり、出遅れても自分のラインはつぶされないことが多いので、大丈夫だろうと信じたセッティングです。

タイのレースディレクター

そしていざスタートすると、やっぱり出遅れて両脇のマシンに先を行かれましたが、やはりラインはつぶされなかったので自分のアウト側に居たNulek選手と同時に1ブイに到達。そうなると内側にいる自分の方が当然有利なので、そのまま全開で6ブイまで行き、アウトコースの1番で合流まできたのですが、やはりインコースからきたPermponがとても速く、合流は2番に。

Permponはキングスカップでも何度かスタート2番で合流していて、マシンの速さはピカイチのカーボンハルです。ハバスでも何度も世界チャンピオンになっていて、テクニックも体力もあるので前に行かれたら1番厄介なライダーです。しかしそんなPermponがすぐにスピードダウン。何かトラブルが起こっているようです。とはいえすごくタイトでしかもインコースしか使えないという抜きどころがまったくないコースで、なかなか抜けずインから強引に抜こうとすると、ダムが開いているため強烈な流れのせいで全部ブイの内側に行ってしまうという……。結局3回もイレイザーブイを回る羽目になり、そのたびに抜かれて結局4位でゴールしました。

その後、リザルトを見に行くもなかなか張り出されず、やっと出たと思ったら自分は3位に。どうやらレースを見ていたひといわく、1位から4位までは自分を含めた全員がミスブイ、もしくはオンブイをしていたそうです。でもイレイザーを回ったのは自分だけで、他の人は全員回ってないとか。たしかオンブイはイレイザーでは解消されないはずだし、全員がミスブイならイレイザーを回ったのは自分だけだから1位になってるはず……。なぜ3位なのか、よくわからないジャッジです(笑)。

まあ海外のレースではこんなことが当たり前で、いちいち文句を言っても始まりません。とにかくMOTO 1は3位だったので、残りの3ヒートを1位でゴールすれば、まだ優勝はできます。

そして午後のMOTO 2。MOTO 1の結果から3番目にグリッドを選べますが、インコースが速いことはみんなわかっているので1位のNulekはインコースの1番イン側を選択。2番のOrraphanはアウトのイン側に行ったので、自分はインの2番目に入りました。スタートに自信があり、MOTO 1で1位でゴールしたのにリザルトでは6位になっていたPermponは、スタートで自分をつぶすために自分の隣をチョイス。そうなるとスタートが速いアウト側のPermponに外から被せられてインコース2番手、アウトコースから1番で来たライダーが合流で2番になるので、自分が合流3番になることが想定されます。

そしていざスタートすると、やはりインコースの2番で合流3番。想定内だったので焦らず、2周目の選択でアウトコースから仕掛けたのですがダメ。3周目にもう一度アウトコースからアタックしたら、合流後のホームストレートのブレーキング我慢大会で何とか抜いて2位に上がれました。

1位のPermponは遥か彼方でしたが、10周あるので焦らず壊さず走っていたら何とかなるかもと思って走りました。焦るとMOTO 1のようにイレイザーを回る羽目になるので(笑)。

しばらくすると案の定、Permponのマシンが壊れてスローダウン。今度はスムーズに抜いていき、その時点で自分と後続艇の距離は半周近くあったので、ペースを落として無事に1 位でゴール。午後のこのヒートはテレビ中継が入っているので、1位を思いっきりアピールしながらのゴールです(笑)。

1位をアピールしながらフィニッシュ

そのままインスぺクションエリアに行くと、みんなが最高だったと褒めてくれました。やっぱりホールショットからの逃げ切りよりも、後方から抜いて行くレースの方が盛りあがるみたいです。そのあとはまたスロープがある島にマシンで自走していき、みんなは車で戻ってマシンを上げてもらいました。ここからはまたメカニックのみんなが明日のレースのために最善を尽くしてくれます。

自分はお役御免ということで、近くのスーパーに買いだしに行きました。するとなんと!! 念願のマッサージ屋さんを発見。一緒にいた4 人で1時間だけマッサージを受けてから、買い物をしてみんなのところに戻りました。みんなにマッサージ屋がスーパーにあったことを嬉々として伝えると、「ホテルのフロントに頼めば呼んでくれると」言われ、どうやら夜遅くでも来てくれるとのことなので、それならと今度は部屋で2時間マッサージを受けてからこの日は休みました。

次ページ:【レース2日目】掴みかけてこぼれ落ちた優勝

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水上バイクレーサー、生駒淳
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