ストック艇でのレースを余儀なくされ、厳しい戦いに
2019年4月21日(日)【レース2日目】
シリーズチャンピオン連覇に、早くも黄色信号
朝10時にレース会場に到着すると、そこにはヤマハが用意してくれたGP1800がありました。中身は、箱だしのドストックだそうです(笑)。たしかに自分は前夜「ストックマシンでもそこそこいける」と言っていたのですが、それはあくまでレギュレーション上のストックでECU、インテークゲート、スポンソンぐらいは変えてあれば、という意味でした。108km/hでリミッターが効いてしまう本当の無改造ストックマシンでは、さすがにGPマシンに太刀打ちできません(笑)。
でもヤマハが厚意で用意してくれたマシンですし、自分にはこいつしか無いので、これで勝ちにいくしかありません。とりあえず乗ってみようとマシンのところへ向かうと、タイ・ヤマハのメカニックがECUを片手にこちらを見ています。自分が「それは何?」と聞くと、「ECUを隣のマシンと交換しといたぜ(^_^)v」とのこと。なんて素敵なサービス(喜)。これで120km/hぐらいは出るはず。スポンソンも変えてくれたみたいで、これならいけるかもとテストしてみると、なかなか良い感じ。あくまでストックマシンとして、ですけど(笑)。
これ以上を望むのは欲張りなので、これで勝負しようと腹をくくりました。メカニックのみんなは、そのあいだも次戦のために一生懸命エンジンをバラしてくれていました。その苦労に報いるために、自分もこのマシンで取れる最大限のポイントを獲ってこようと強く決意して、いよいよMOTO 3のスタートです。
グリッドは、インコースの大外。インテークゲートがノーマルなので、キャビらないように様子を見てアイドリングスタートです。出足の一瞬はいけるかな? と思ったんですけど、やっぱりそんなに甘くはなく、両側から一気に抜かれ、目の前が水しぶきで真っ白に。ここは冷静にいこうと気持ちを落ち着かせて、インコースの4番目、合流9番目ぐらいでした。
途中、1台リタイアして8位に上がりましたが、他のマシンがまったく壊れてくれません。さらに午前中はベタベタな海面なので、みんなのペースも速くて抜けず、結果はそのまま8位でゴールでした。もう一度言いますが、やっぱりそんなに甘くはなかった。
ストックマシンなので昼休み中にできることもほとんど無く、とりあえずTJSBAのスタッフに去年自分が書いたタイツアーの記事をプレゼントしに行ったら、とても喜んでもらえました。
夕方になると少し水面が荒れてきたので、燃料を少し多めに入れてもらってから最後のMOTO 4へ。グリッドはインの大外だったんですけど、スタート直前に自分のイン側にいたライダーから「マシンの調子が悪いから場所を代わってくれ」と言われてひとつイン側に。少しでもインに行きたかったのでラッキーです。
そしてスタートと同時に飛び出せたのですが、やっぱりインの3番目。かと思ったら、調子が悪いと言っていた隣のマシンが大外からすごい勢いで抜いてきて、インコースのトップに。「うわーすげー」と思って見ていたら、一気にペースダウン。みんな、そのマシンを避けるのに必死です。本当に迷惑な奴だなー(笑)。
と思っていたら、赤旗でスタートやり直し。誰もペナルティーは取られず再スタートです。今度は全員キレイにスタートしたのでまた両脇から一気にいかれ、インの4番で合流は9番。少し荒れた海面だったので、前のマシンより自分の方が明らかに速いペースだったのですが、選択コースがまったく役に立たず、何度インに行っても抜けません。先頭からビリまで、数珠繋ぎのレースです。
先頭もペースを上げないので離されることもなく、ストックマシンでもGPマシンと変わらないペースで走り、何度か仕掛けたのですが抜き切ることができず、あっという間に最終ラップに。毎周、バックストレートエンドで前のライダーを外から被せるところまではいけていたので、最終ラップはインから抜いてやろうと全開でインから近づいた瞬間、前のマシンが波に引っかかってイン側に直角に曲がり、マシンが自分の方に飛んできました。急いで外側に逃げたのですが、落水したライダーも見えたのでさらに外側に逃げて回避。自分も危ないくらいでしたが、そこでやっと1台抜いて8位でゴール。結局総合でも8位でした。
もちろん優勝できなかったことは悔しいですが、シリーズチャンピオンを獲るためには毎戦しっかりとポイントを稼がなくてはいけないので、そっちの方が痛い。今回だけでもトップと110ポイントも離されてしまったので、シリーズチャンピオンもかなり怪しくなってしまいました。まあ、悔やんでいても仕方ないし、こんなこともあるよねということで、急いでホテルに戻ってウェットスーツなどを水洗いし、レース会場に戻ってヤマハのトラックに全部吊るしてきました。これでライディングギア一式をタイに置いていけるので、移動が断然ラクになります。
特に濡れ物は重いので、タイに置いて帰れるだけでも相当助かります。タイのレース用にウェットを用意していただいたJETPILOTと、それを運んでくれるタイ・ヤマハに感謝です。
そしてレース後は、ホテルの隣のレストランに30人ぐらいが集まってタイ・ヤマハ恒例の大宴会がスタート。自分は去年から参加したのですが、今年はなぜかみんなものすごい勢いで呑んでます(笑)。普段はマジメなヤマハの営業マンが、次々にべろべろの酔っ払いへと変身していきます(笑)。とんでもない量のビール瓶が目の前に並んでいき、お開きになったあとは隣のホテルの入り口で2次会に突入。15人ぐらい残ったのですが、タイ酒2本、ウィスキー6本、ジン3本、ワイン2本が空いていき、徐々にリタイアするひとも。最後に残ったのは自分とSETTURA兄弟とNUTTAKORNの4人とその彼女? 奥さま? の計8人。それぞれランナ、スポーツ、ランナ1100、スキーのプロカテゴリーのチャンピオンです。最後は英語も使わずタイ語だけになっていましたが、とても楽しい宴会でした。トップライダーは酒も強い(笑)。結局お開きになったのは午前2時半でした。