生駒 淳の海外レース参戦記#06│JET SKI WORLD SERIES 2019 ROUND 1

2019年7月7日(日)【レース4日目】
気づけば表彰台まであと一歩。最後まで諦めずに走った結果は……

 ケガを負いながらも力走する生駒淳

この日のプロ・ランナバウトGPは午前の最後なので、前日のようにゆっくりしていられません。みんなと一緒にホテルを出たのですが、自分の体は良くなるどころか悪化する一方でした。気づけば呼吸も苦しくなってきていて、状態は最悪。でも、あと2回走れば終わりだからと自分を奮い立たせて、会場へと向かいました。

MOTO 3のグリッドは、昨日が8位だったのでアウトの外から4番目。自分のイン側はブッシェル(#158)でした。

スタート直後から、ブッシェルが外に膨らんできます。ドンドン外へと追いだされ、そのあいだに、他のマシンがインから抜いていくのが見えました。ブッシェルは曲がれないのか、ますます外に膨らんできて、コースの端にある耐久レース用の大きなブイの外まで追いだされ、合流はかなりうしろの方だったと思います。

しかも痛み止めを飲んだのがレース直前だったので、まだ薬が効いていなくて激痛。まさに最悪な状況でしたが、諦めずに走っていると意外にも、中位のライダー相手なら順当に抜いていけることがわかりました。最後まで焦らず粘りのレースをした結果、5位まで順位を上げてゴールできました。

ここまでの総合成績は、105ポイントで5位。4位とは、わずか3ポイント差です。1位とは61ポイント差だったのでそこまでは届きませんが、2位とは42ポイント差なので、まだイケる。体は相変わらず思うように動きませんが、諦める気は毛頭ありません。

次のレースは夕方の1番最後なので、そのあいだにユキちゃんや愛妻アケ、倉橋秀幸くん、片野丈一郎くんといった日本人のレースもあり、みんなすごく頑張っていました。自分ももっと頑張らないとダメだなと元気をもらい、今回は少し早めに、ちょっと多めの痛み止めを飲んで最後のレースに備えました。

そして最後のMOTO 4。ギャラリーもすごい数で、会場は盛りあがっています。アウト側のインから3番目からスタートすると、今回はブッシェルにも邪魔されずにイン側へ逃げ、けっこう良い位置につけて6位ぐらいでホームストレートを通過。その後、さすがMOTO 4という感じでトップ勢のマシンが壊れだし、何台か抜いて順位も順調にアップ。そしてもうすぐ3位に上がろうかというところで、自分のマシンもストップ。急にアイドリングまで落ちてしまい、スロットルをいくら煽っても回転数が上がりません。

ホームストレートまで帰ってきたところで試しに1度エンジンを止めてみたら、エンジンがかかりません。バッテリートラブルだと思いマシンを降りて確認すると、あるはずの場所にバッテリーがありません。どこかに飛んでいってしまったようです。水の硬い湖でのレースは、マシンへの衝撃もかなり大きいんですよね。メカニックのみんなが駆けつけてくれて急いでコースに復帰しましたが、時すでに遅し。あのまま走れていれば総合2位か3位まではいけたのですが、残念な結果となってしまいました。

レース終了後は、翌日の朝イチにおこなうコンテナ詰めのため、日本チームのみんなで準備。その後は表彰式がレース会場で行われたのですが、表彰台に上がれた日本人は、残念ながら1人もいませんでした。

その夜の晩ご飯もベンジーのご両親が手料理を振る舞ってくれ、食べ終わってそろそろホテルに帰ろうとしたその時でした。レースが終わって気が抜けたのか、痛み止めの薬が切れたのか、立ちあがれなくなりました。何とかして帰ろうと車道までは行ったのですが、今度は息が吸えなくなり、しゃがみこんだまま動けません。みんなが肩を貸してくれたのですが、呼吸が苦しくて立ちあがるのもツラく、動かされるのは耐えられないぐらい。仕方がないので車をすぐ近くまで移動してもらい、なんとか乗り込んでホテルへ戻るとベッドに横になり、そのまま痛みと息苦しさに耐えながら朝を迎えました。

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